日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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測定評価/口頭発表③

2023年9月1日(金) 15:10 〜 16:09 RY204 (良心館2階RY204番教室)

座長:村山 敏夫(新潟大学)

15:10 〜 15:24

[08測-口-09] 定年引上げを見据えた運動能力調査及び加齢による影響を考慮した消防版体力テストの考案

*笠見 優一1 (1. 東京消防庁)

国家公務員法及び地方公務員法の改正による定年引上げを受け、60歳以上の職員が消防活動に従事することが見越される。一般に加齢に伴い体力が低下するといわれていることから、定年引上げに伴い消防活動に従事する職員の体力レベルも低下する可能性が考えられ、「高年齢職員が火災現場で体力的に十分な活動ができるのか」が課題となる。
 今後この課題に適切に取組み、定年引上げ後も当庁の活動能力を低下させないためには、まずは定年引上げが行われていない現時点において、消防活動に必要な体力レベルを可視化し、当庁職員の体力現況を把握する必要がある。現在、当庁では文部科学省の定める新体力テストを毎年行い、職員の体力を把握しているが、加齢により衰えやすいといわれている平衡感覚や認知機能に関する測定を実施していないため、新体力テストのみでは加齢による体力低下の影響を把握できないと考えられる。
 そこで、本検証では、消防署員向けの新たな体力テスト(以下「消防版体力テスト」という。)を5種目考案し、18歳から65歳までの839名の消防職員の体力を測定することで、消防版体力テストが加齢により衰えやすい体力を適正に評価できるかを調査した。また、新体力テストと消防版体力テストの結果により、当庁職員の体力の現況を把握した。 その結果、消防版体力テスト5種目のうち3種目で加齢の影響が認められ、加齢により衰えやすい体力を測定するのに適していると考えられる。また、本検証において考案した消防版体力テストと新体力テストの結果により、定年引上げが実施されていない状況下で、当庁職員の体力の現況を把握でき、消防活動に必要な体力を可視化することができた。