日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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ポスター発表(専門領域別)

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体育方法(偶数演題)/ポスター発表

2023年9月1日(金) 14:00 〜 15:00 RY449 (良心館4階RY449番教室)

[09方-ポ-28] ループ型動作トレーニングシステムを用いたスポーツ技術指導の事例について

バスケットボールシュート動作,野球投球動作の場合

*有井 さやか1,2、阿江 通良2、内山 治樹2、塙 悠汰2 (1. 凸版印刷株式会社、2. 日本体育大学)


スポーツ動作を指導する際には,技能の優れた選手をモデルとし,動作の評価や学習者の手本として示すことが多い.また,スポーツ技術の習得や改善においては,即時フィードバックトレーニングや視覚的観察が有効であると報告されている.Ae et al.,(2007)は,動作指導で用いる動きの標準値として,一流選手や熟練者の動作を平均した標準動作モデルを提案している.また,標準動作モデルは動作をバイオメカニクス的に評価する手法の一つとして提案されている(Ae et al,2007, Murata et al,2008). 本研究では,標準動作モデルを動作習得時の手本として用いて,即時フィードバックシステムを活用した動作トレーニングを行い,トレーニング前後の動作の変化を事例的に検討することを目的とした. 大学生選手を対象に,スポーツの基本動作(野球の投球,バスケットボールのシュート)の標準動作モデル(Ae et al., 2007)を作成した.得られたモデルより,関節角度変化,方向角,変動係数などを算出し,動作の特徴や指導時の着眼点を抽出した.その後,作成したモデルをタブレット端末に搭載し,中高生を対象に即時フィードバックトレーニングを実施した. 野球の投球動作では,下肢・体幹の動きが,バスケットボールのシュート動作では,シュートの準備局面とリリース姿勢が指導時の着眼点と考えられた.このうち,野球の投球動作では,対象となった高校生に動作の変化がみられ,選手は動作のタイミングを変化させていた.また,課題となった動作を改善する過程で他の局面の動作にも変化が生じると考えられた.即時フィードバックシステムを用いた短期間の投球動作指導では,動作のタイミングについて指導を行うことが効果的であるが,ある局面の1つの動作のみに着目するのではなく,その前後の局面の動作も観察しながら指導を行う必要があることが示唆された.