[09方-ポ-30] 野球選手における体力に応じたトレーニングプログラムの検討
本研究では、野球選手における体力に応じたトレーニングプログラムを検討することを目的とした。 大学生野球選手36名を対象に打撃動作において重要とされている股関節の伸展に寄与する筋群を鍛えることが可能なクリーン・ハイプル(CHP)のトレーニングを1週間に2回の頻度で12週間実施した。トレーニングの負荷設定は最大パワーにおける負荷重量で5回を3セットとした。スイング速度(SV)の計測は、バットスイング解析装置を用いて測定した。最大パワー(PP)は、リニアポジショントランスデューサーを用いて、CHPによる3つの異なる負荷における最大努力での挙上速度からパワーを算出し、負荷とパワーの関係を二次回帰することで推定した。加えてCHPの最大パワーの体重比(PP/BW)を算出した。測定は、トレーニング介入前(Pre)、1か月後(4wks)、2か月後(8wks)、3か月後(12wks)の計4回とした。スイング速度とスイング速度にとって重要な体力因子とされている体重から得られた回帰式をタイプ分けの基準線とし、被験者をHigh-Skill(HS)群とLow-Skill(LS)群の2つに分け、同一のトレーニングプログラムがそれぞれに及ぼしたトレーニング効果について検討した。 その結果、Preにおいて両群の間に身体的特徴に差はなかったが、LS群はHS群よりSVとPP/BWにおいて有意に低値を示した。Preから12wksの期間においてSV、PP及びPP/BWに両群ともに有意な増加が確認されたが、Pre-4wksの期間においてはLS群がHS群と比較して大きな増加率が認められた。12wksにおいて、Preの段階で低値を示したLS群のSVはHS群と同程度まで増加した。 以上の結果から、CHPのトレーニングはLS群にとってスイング速度を高めるトレーニングとして特に有効であることが考えられた。