[09方-ポ-36] 東京オリンピック卓球競技ダブルスにおけるラリーの特徴
これまで、卓球競技のシングルスを対象にラリーの特徴を検討した研究は見られるが、ダブルスを対象にした研究は少ない。シングルスとダブルスでは競技ルールが異なるため、ラリーの特徴も異なると考えられる。そこで本研究では、東京オリンピック(2021)卓球競技におけるダブルスを対象に、ラリー中の打球回数(1ラリーにおける正規のサービスと正規のリターンの合計数)を測定した。それらのデータについて、男子ダブルス、女子ダブルス、および混合ダブルスの3種目間での比較、東京オリンピックシングルス(池田ら、2022)との比較などを行うことから、卓球競技ダブルスラリーの特徴を明らかにした。測定対象は、東京オリンピックで行われたダブルス全48試合(男子16試合、女子16試合、混合16試合)とした。これらには、戦型がディフェンス型の選手は含まれておらず、全てオールラウンド型(吉田、2014)であった。主な結果と考察は以下の通り。(1)ダブルス3種目のラリー中の平均打球回数はそれぞれ、男子ダブルスが3.6±0.5回、女子ダブルスが3.8±0.4回、混合ダブルスが3.4±0.3回であった。(2)ラリー中の平均打球回数について、ダブルスの3種目間で比較すると、有意な主効果が認められた(p<0.05)。多重比較によると、女子ダブルスは混合ダブルスと比較して有意に大きかった(p<0.05)。(3)ラリー中の平均打球回数について、ダブルスとシングルス(ディフェ ンス型選手の試合は除く)間を男女それぞれに比較すると、男女いずれも、ダブルスはシングルス(男子は3.9±0.6回、女子は4.1±0.7回)と比較して有意に小さかった(p<0.05)。(4)この研究により明らかにされた卓球競技ダブルスのラリーの特徴は、卓球コーチングに有用なものと考えられた。その他の結果の詳細については、学会大会にて報告したい。