日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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ポスター発表(専門領域別)

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体育心理学(奇数演題)/ポスター発表

2023年9月1日(金) 10:00 〜 11:00 RY205 (良心館2階RY205番教室)

[03心-ポ-03] 観察者の性別の違いが速さと正確さの両方を求められる課題のパフォーマンスに及ぼす影響

女性参加者についての検討

*兄井 彰1 (1. 福岡教育大学)


運動を行う際に観察者が存在すると、パフォーマンスが向上する場合は社会的促進、パフォーマンスが妨げられる場合は社会的抑制と呼ばれる。この観察者の性別が異なるとパフォーマンスへの影響も異なると考えられている。本研究では、女性の参加者を対象に、観察者の性別の違いが速さと正確さの両方が求められる課題のパフォーマンスにどのような影響を与えるかを検討した。本研究では、女性参加者24名に対して、できるだけ速く正確にバスケットボールのフリースローを10回連続で行うように求められた。参加者は異なる日に3つの条件で実験を行い、観察者がいない単独条件、男性の観察者がいる男性観察条件、女性の観察者がいる女性観察条件を設定した。観察者は参加者と面識のない2人で、マスクをしてトレーニングウェアを着用していた。実験の結果、10回のシュート成功回数に有意な差が見られ、男性の観察者がいる場合はシュートの成功回数が少なかった。また、10回のシュートにかかる所要時間は、観察者がいない場合と比較して、男性の観察者がいる場合で短くなった。運動終了後に課題への動機づけを調査したところ、観察者がいる場合の方が動機づけは高かった。さらに、課題への集中度を調査したところ、男性の観察者がいる場合は課題に集中できていなかった。このことから、速さと正確さの両方が求められる課題において、女性の参加者は男性の観察者がいると課題への動機づけは高まる一方で集中力は低下し、速く10回のシュートを終わらせようとして所用時間が短くなり、シュートの成功回数が少なくなると考えられる。この傾向は、同じ課題を男性参加者が行った場合と異なっており、女性参加者は、異なる性別の観察者が存在することでパフォーマンスが低下する社会的抑制が見られると考えられる。