[03心-ポ-07] サッカーにおける首振り行動に関するセンサーベースの検出手法開発の試み
一流のサッカー選手は、ボールを持っていない時やパスを受ける前に首を振って状況を把握することが報告されている。首振り行動は、目視でその行動をカウントする主観的な分析手法が用いられているが、非効率的かつエラーが発生しやすいという問題を内包している。一方で、モーションセンサー(MS)による計測は、効率的かつ高精度にデータ収集することが可能であり、これらの問題を解決するのに適しているとされている。これまでのところ、フィールドにおいてMSで首振り行動を自動的に検出する標準的な計測・評価手法は確立されていない。そこで本研究では、MSを用いてサッカー選手の首振り行動を計測する手法の開発を試みた。大学生サッカー選手を対象に、6 vs. 6によるゴールゲーム(GG)とボールポゼッションゲーム(BPG)をそれぞれ7分間行った。無作為に選んだサッカー選手2名を分析対象者とし、攻撃時の首振り行動を評価した。センサーベースの分析では、先行研究に基づき125 deg/secを超える縦軸に関する頭部の動きと定義し、ヨー方向への頭部回転を検出した。また、フィールドでの予備実験に基づき、250 deg/secを超える縦軸に関する頭部の動きと再定義した上で、ヨー方向への頭部回転を検出した。記述分析では、異なる2人の分析者による主観的分析とその評定者間一致率を算出した。MSにおいて、125 deg/secを基準とした場合の平均首振り回数は、GGで79回、BPGで57.5回であった。250 deg/secを基準とした場合では、GGで35.5回、BPGで29.5回であった。記述分析では、GGで32.5回、BPGで29回であった。評定者間一致率はそれぞれ97%、91%であった。以上から、250 deg/secを基準として縦軸に関する頭部の動きを計測することが、頭部の回数を評価するための適切かつ効率的な方法である可能性が示された。