日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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ポスター発表(専門領域別)

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体育心理学(奇数演題)/ポスター発表

2023年9月1日(金) 10:00 〜 11:00 RY205 (良心館2階RY205番教室)

[03心-ポ-11] アーティスティックスポーツの視聴による観察者の感情生起

*福村 寿華1、林 大貴1、宮崎 輝光1、森 司朗1、中本 浩揮1 (1. 鹿屋体育大学)


スポーツの魅力の一つは観る者を感動させる点にある.感動は喜びや驚きを含む混合感情と定義されることから,スポーツの魅力を高めるためには,観戦者の感情がどのような要因で生じ,またどのような機序で生起するのかを明らかにすることが有用であると思われる.特に芸術性が評価されるようなアーティスティックスポーツ(AS)では,非言語情報による身体的表現によって他者に感情を生起させることが採点基準としても含まれるため,非言語的情報による感情の生起要因を明らかにすることは,より高いパフォーマンス獲得する上でも重要な知見になると思われる.他者の非言語的な要素 (姿勢,動作,感情の表出) の観察によって,観察者に同じ感情が無意識的に生起される現象に情動伝染 (emotional contagion) がある.本研究では,特に,身体動作による観察者の感情生起に焦点を置き,ASの視聴においても同様の現象が生起するのかを検証した.実験課題では,参加者に,アーティスティックスイミング競技選手による演技の動画 (30映像) を観察させ,観察後に自己に生起した感情を回答させた.感情に関する回答は,感情価 (ポジティブ-ネガティブ) と覚醒度 (低い-高い) をそれぞれ9段階で回答させ,感情の円環モデルに従い生起感情を評価した.また,映像の表現する感情を選択する課題も行った.結果として,観察者は,演技者が表現しようとする感情 (喜びと怒り) を正確に回答することができた.これに加え,感情価と覚醒度に基づく評価では,演技者が表現した感情に観察者の感情が偏向していた.これらは,演技者の身体表現は,観察者がその表現感情を理解できるだけでなく,観察者の感情そのものを同質なものへと変化させる可能性が示唆された.