日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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ポスター発表(専門領域別)

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体育心理学(奇数演題)/ポスター発表

2023年9月1日(金) 10:00 〜 11:00 RY205 (良心館2階RY205番教室)

[03心-ポ-31] 近代五種競技選手の心理特性と射撃のパフォーマンスに関する特徴

*高井 秀明1、大久保 瞳1 (1. 日本体育大学)


近代五種競技の射撃は、600 m走と射撃を繰り返すため、静と動が混在する種目である。ときに、まわりの観衆や自他のパフォーマンスが気になり、実力発揮できないことに苦慮する選手がいる。本研究では、心理特性である競技特性不安と注意スタイルに着目し、射撃のパフォーマンスに関する特徴について明らかにすることを目的とした。調査対象者は、近代五種全日本選手権大会の決勝に出場した選手25名(男性15名、女性10名)であった。調査内容は、年齢、性別、競技年数、スポーツにおける競技特性不安尺度(橋本ほか、1993)、注意・対人スタイル診断テスト(Nideffer, 1976)とした。また、パフォーマンスについては、近代五種全日本選手権大会の射撃の弾数、射撃の1発目までの時間、射撃の合計時間を評価した。その結果、競技特性不安における高群の射撃の1発目までの時間は、低群よりも有意に短かった。また、OET(External overload)の高群の射撃の1発目までの時間は、低群よりも短い傾向を示した。OETの高群の射撃の合計時間は、低群よりも有意に短かった。そして、OIT(Internal overload)の高群の射撃の合計時間は、低群よりも有意に短かった。一般的に、OETとOITが高得点である場合は、外界の情報によって混乱することやオーバーロードになることで失敗を犯しやすい傾向があり、一度に多くのことを考えすぎて失敗しやすいといわれている(e.g., 杉山、2007;大久保、2011)。OETとOITの高群は、低群よりもパフォーマンスが低いものと予想されたが、本研究では異なる結果を示した。これは、選手自身が個人の競技特性不安や注意スタイルの特徴を理解した上で、射座に入る人数やレース展開を想定して日頃からの練習に取り組んでいることが関係しているものと考えられる。