日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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ポスター発表(専門領域別)

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体育方法(偶数演題)/ポスター発表

2023年9月1日(金) 14:00 〜 15:00 RY452 (良心館4階RY452番教室)

[09方-ポ-60] 駆け上がり型のボードジャンプの遂行能力と各種跳躍パフォーマンスとの関係

*伊藤 信之1 (1. 横浜国立大学)


短距離や跳躍選手のプライオメトリックの遂行能力を高めるための練習手段としてバウンディングが用いられている.指導の現場では,選手がバウンディングなどを実施する際に後方へのキック動作が強調され,接地後に膝や足関節が過度の屈曲するつぶれ動作が観察されることが多い.水平片脚跳躍の能力を測定するために立五段跳を用いたテストなどが実施されているが,こうした動作が起こってしまった場合,選手の能力を適切に評価することが困難になることが示唆される.後方へのキック動作が強調されることを防ぐために,助走後に2種類の異なる台高をボードを用いた2歩の片脚跳躍を考案した.本研究では,この跳躍運動によって測定されるパラメーターとバウンディングなどの跳躍パフォーマンスとの相互関係について検討することを目的とした.男子の短距離選手5名および跳躍選手2名を対象とした.テスト試技に用いた「駆け上がり型のボードジャンプ」(以下BJ)は,6歩の助走から2種類の台高(5cmと10cm)を連続して片脚跳躍を行い,できるだけ遠くまで跳ぶ跳躍運動である.助走路に2m間隔でリファンレンスマークを設置し側方から高速度カメラによって撮影した.得られた画像から,各歩の跳躍距離,支持時間,滞空時間,水平速度を測定した.被験者の脚長のデータを加えて,簡易的に脚のスティフネスを算出した.また,計10項目の観点から質的な評価を行い,乗り込み,振り下ろし,挟み込みの動作を5点満点で得点化した.6歩助走からのバウンディングと比較したところ,各歩の跳躍間に有意な正の相関関係が認められた.跳躍距離に有意な差は見られなかったが,BJは脚のスティフネスが有意に大きく,振り下ろしおよび乗り込みの評価得点が有意に大きくなったことから,BJでは,接地後のつぶれ動作が抑制された良好な跳躍動作に近づいたことが示唆された.