日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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ポスター発表(専門領域別)

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発育発達/ポスター発表

2023年9月1日(金) 10:00 〜 11:00 RY205 (良心館2階RY205番教室)

[07発-ポ-06] COVID-19の流行前後における幼児の運動能力の比較

*長野 康平1、菊池 信太郎2 (1. 比治山大学短期大学部、2. 医療法人仁寿会菊池医院)


【背景】COVID-19のパンデミック以降、子どもの身体活動を取り巻く環境は一変し、従来の様式から転換せざるを得ない状況となった。そのため従前に比べて、身体活動量が減少したことは容易に想像がつく。このような身体活動量の減少は、体力・運動能力の低下につながることが予想されるが、幼児を対象とした検討はこれまでにされていない。【目的】COVID-19の流行前後で幼児の運動能力に差異がみられるかを検討すること。 【方法】福島県内の私立幼稚園に通園する年中・年長の幼児を対象とし、2019年度2,820名、2020年度2,590名、2021年度2,318名からデータを収集した。調査項目は、MKS幼児運動能力テスト6項目に加え、身長・体重とした。解析は各項目について、性と年齢別(6カ月単位で分類)に一元配置分散分析を用いて、年度間の比較を行った。【結果】項目や年齢によって多少の違いがあるものの全体的な傾向としては、COVID-19の流行後に顕著な運動能力の低下は認められなかった。テニスボール投げは、2021年度が4歳児前後半の男女で2019年度と2020年度より低値を示した。一方で、合計点を比較すると、5歳児前後半の男女ともに2019年度より2021年度が高値を示し、COVID-19の流行下でも運動能力の向上が確認できた。【考察】予想されたような運動能力の低下は認められず、むしろ維持・向上している可能性が示唆された。この背景には幼稚園における取組の充実が予想される。対象地域では東日本大震災を経験しており、緊急時における子どもへの影響を強く認識しており、そのような危機感が幼稚園における取組の充実を促し、この結果に繋がった可能性がある。一方で個人内の要因(運動習慣等)も結果に強く影響することも考えられるため、今後は幼稚園における取組や個人の要因も考慮した解析を行うことが必要である。