日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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ポスター発表(専門領域別)

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体育心理学(偶数演題)/ポスター発表

2023年9月1日(金) 11:00 〜 12:00 RY205 (良心館2階RY205番教室)

[03心-ポ-10] ブランコ漕ぎにおける見えない力の検討

VRブランコでの位相シフト

*平田 智秋1、北原 俊一1 (1. 十文字学園女子大学 教育人文学部 心理学科)


ブランコ漕ぎの増幅過程において、ブランコ座面と上体動との位相の漸進的なシフトが確認されている(Hirata, et. al., 2023)。この位相シフトの時間幅はブランコの1周期(およそ2500ms)あたり約10ms程度である。このように微細な動きが意図的に制御されているとは考えにくい。このように精緻な位相シフトは、見えない力、すなわち遠心力や慣性力などに導かれていると仮説をたてた。たとえばブランコの速度、振幅に比例する慣性力によって上体が背面方向に押されているとすれば、上体動は意図の有無に関わらず、約10ms単位の精緻な動きをしうる。上体の動きの大きさやタイミングから実ブランコ漕ぎにおける増幅量をほぼ正確に予測する力学モデルをVR(バーチャル・リアリティ)環境に埋め込み、VRブランコを実現した。VR環境を選択した理由は見えない力、つまり慣性力や遠心力が生じ得ないからである。本研究ではVRブランコ漕ぎにおける上体動を解析し、実環境におけるブランコ漕ぎと同様、位相シフトが生じるかを検討する。閉眼でも実ブランコを漕げることから分かる通り、ブランコ漕ぎにおける視覚の役割は限定的であり、視覚情報のみを呈示するVR環境でのブランコ漕ぎは極めて困難である可能性がある。本研究ではVR環境でブランコを漕げる実験参加者を10名程度集め、上体動を解析して上記の仮説を検証する。もしVRブランコにおいて位相シフトが生起しなければ、位相シフトは見えない力によって導かれている可能性が高い。周期的に運動するブランコと上体動との位相は、道具を使うヒトの周期動作の理解に有効な指標となると考える。