日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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ポスター発表(専門領域別)

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体育心理学(偶数演題)/ポスター発表

2023年9月1日(金) 11:00 〜 12:00 RY205 (良心館2階RY205番教室)

[03心-ポ-56] 女子ラグビー選手の状況判断に関する検討

ポッドアタック時の視点に着目して

*人羅 美帆1、高井 秀明2、坂部 崇政2 (1. 日本体育大学大学院、2. 日本体育大学)


環境が絶えず変化するオープンスキル種目では、ゲームを優位に進めるために適切な状況判断(Decision Making;以下、DM)が求められる。中でも、15種類のポジションが存在するラグビー競技では、それぞれの役割をゲーム状況に応じて遂行しなければならず、経験ポジションが認知構造に個人差を生じさせる要因になる可能性が示されている(落合ほか、1992)。また、適切なDMを遂行するため、熟練したスポーツ競技者は特有の視覚探索方略を用いていることが報告されており(石橋ほか、2010)、ラグビー競技では司令塔を担う選手においてそのような傾向がみられるものと予想される。そこで本研究では、女子ラグビー選手を対象とし、競技歴およびポジションと視線行動がDMに及ぼす影響について明らかにすることを目的とした。実験参加者は、大学生以上の女子ラグビー選手38名であり、競技歴で3群、ポジションで3群にそれぞれ分けて比較検討した。実験課題は、ラグビーの試合状況を再現した映像観察中にスペースを判断させるものであり、参加者には6つの選択肢から1つを選び、対応したキーボードを押させた。その結果、課題の正答率については、ポジションでは違いがなく、競技歴では熟練者群が他の2群よりも高い傾向を示し、本研究においても状況認知能力とスキルレベルの間に積極的関連(中川、1982)がみられた。視線行動の主観的評価については、熟練者および中熟練者群は「自分の前から外側のスペース、そして内側のスペース」へ視線を動かしており、非熟練者は「外側のスペースから内側のスペース」へと視線を動かしていることが明らかとなった。熟練者および中熟練者群では、自ら前にボールを運ぼうとする戦術が視線移動として反映されたものと推察される。以上のことから、女子ラグビー選手のDMには、ポジションよりも競技歴が深く関与していることが示された。