日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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ポスター発表(専門領域別)

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バイオメカニクス/ポスター発表

2023年9月1日(金) 13:30 〜 14:30 RY205 (良心館2階RY205番教室)

[05バ-ポ-09] パスの方向の変更がパスの精確性に与える影響

*下田代 祐輔1、進矢 正宏1 (1. 広島大学大学院 人間社会科学研究科)


サッカーでは、パスは基本的な動作の一つである。選手は、相手の動きに応じたパスの方向の変更を行うが、方向の変更がない場合と同様のパスの精確性が要求される。キック動作は約400 msの動作であり(Langout et al.,2015)、パスの方向を変更すると、変更したパス動作の開始からボールコンタクトまでの時間が短くなる。フィードバック制御が動作に反映されるまでに少なくとも200 ms必要なため、パスの精確性は、動作のばらつきを反映して低下すると予想される。本研究の目的は、パス方向の変更がパスの精確性に与える影響を明らかにすることであった。
 被験者は、サッカー経験のない右足利き成人男女4名とした。運動課題は、右足(R)または左足(L)のインサイドキックで左右に設置されたターゲットを狙ってグラウンダーのパスすることであった。被験者は、キックの位置から3 m前方に設置されたLEDの点灯と同じ方向にあるターゲットを狙ってパスをした。LEDの点灯は1度の場合(O)と2度の場合(T)があり、2度の場合には被験者は、2度目のLEDの点灯と同じ方向のターゲット狙ってパスすることが要求された。被験者には、できるだけ速く正確にキックをするように教示した。各条件10試行ずつの40試行であった。測定は、デジタルカメラ(120 fps)1台が用いられ、得られた映像から2次元DLT法を用いて、ボールの位置が算出された。パスの精確性の評価として、ボールの位置とターゲットの位置からVariable Errorを算出した。
 パスの方向の変更がある場合は、パスの方向の変更がない場合よりVariable Errorが小さくなった(RO:3.12-0.79 m、RT:5.32 -1.58 m、LO:3.85-1.29 m、LT:3.44-1.77 m、最大-最小)。予備実験の結果、パスの方向の変更はパスの精確性に影響を与える可能性がある。