[05バ-ポ-11] サッカーにおける方向転換とボールスピードの変化がボールコントロール動作に与える影響
現代サッカーにおいて自チームがボールを保持し続けることを志向するポゼッションサッカーが発展する中で、優秀な成績を残すチームはパスを受けてから次のプレーを行うプレー時間が短いことが報告されている。またプレー時間を短くするための2要因としてパススピードを上げることやパスの受け手から出し手に移行する時間を短くすることが挙げられており、次の動作を行うためのボールコントロール技術が重要である。実際の試合では味方や敵との位置関係など状況は常に変化し続けるため、ボールコントロール動作の最適解を瞬時に判断することはとても難しい。そこで本研究ではボールスピードの変化や方向転換を伴うボールコントロール動作を繋ぎ合わせて考えることで実際の試合により近い環境を想定する。そしてこれらの2要因がボールコントロール動作に与える影響を定量的に明らかにすることで、指導の一助になることを目的とした。研究対象者は、サッカーの専門的な競技歴を有する18歳以上の男子大学生サッカー選手とした。試技は、配球者によって配給されたグラウンダーパスに対する、インサイドによるボールコントロール動作とし、実験条件はボールスピード要因3条件(6m/s、8m/s、10m/s)と方向転換要因3条件(正面、右90度、左90度)を掛け合わせた計9条件とした。その試技を4台のハイスピードカメラ(240fps)で撮影を行い、得られた映像をもとに3次元DLT法によって、身体およびボールに貼付したマーカーから3次元座標値を算出した。得られた3次元座標データから下肢の股関節・膝関節・足関節の角度、コントロール脚の足部重心、ボールスピード等を算出し、これらを用いて各条件での比較を行った。その結果、ボールスピードの上昇に伴ってコントロール脚の足部重心が上昇している傾向が見られ、その際のボールコントロール動作の特徴について検討した。