日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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ポスター発表(専門領域別)

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バイオメカニクス/ポスター発表

2023年9月1日(金) 13:30 〜 14:30 RY205 (良心館2階RY205番教室)

[05バ-ポ-13] 男子プロゴルファーのドライバーフルショットにおける膝関節キネティクスの特徴

*平野 智也1、柏木 悠2、船渡 和男1 (1. 国士舘大学大学院スポーツ・システム研究科、2. 専修大学スポーツ研究所)


【背景】
 ゴルファーはドライバーショットにおいて飛距離の増加あるいは方向性を高めるためにスイング速度を調節する場面がある。しかしながら、個人内でスイング速度を調節する際の膝関節における力・パワー発揮の変化は明らかとなっていない。
【目的】
 ドライバーショットにおけるフルショットとコントロールショット時の膝関節キネティクスを比較して、フルショット時の膝関節における力・パワー発揮の特徴を明らかにすること。
【方法】
 8名の男子プロゴルファーが本研究に参加した。試技は、各自のドライバーを用い て、フルショット(ショット距離を狙うことを意識)とコントロールショット(フェアウェイの中央に狙うことを意識)を行った。モーションキャプチャーシステムと2台のフォースプレートを用いて、スイング中の運動学および地面反力データを取得した。前脚(ターゲット側)と後脚の地面反力および膝関節の角度、モーメントおよびパワーを算出した。分析区間はダウンスイング(DS)を対象とした。
【結果および考察】
  膝関節における屈曲伸展軸の動作に着目すると、関節角度と角速度は前後脚ともに屈曲から伸展するパターンを示し、フルショットでは前後脚ともに屈曲角度、屈曲角速度および伸展角速度が大きかった。膝関節モーメントをみると、前脚は伸展モーメント、後脚では屈曲モーメントを発揮していた。膝関節パワーにおいては、フルショットでは、前脚の負のパワー(DSの0%~20%)および正のパワー(DSの20%~80%)と後脚の正のパワー(DSの0%~40%)が大きかった。これらの結果は、前後脚で反動動作を積極的に利用し、末端のクラブヘッド速度を高めるための工夫であると考えられる。
 以上の結果から、プロゴルファーのドライバーフルショットでは、膝関節の大きく素早い屈曲伸展動作によって力・パワー発揮を増大させていることが明らかとなった。