[05バ-ポ-20] 綿包帯による膝関節固定の有無が異なる関節角度における膝伸展筋力と筋活動量に及ぼす影響
本研究では、綿包帯による膝関節固定の有無によって、異なる関節角度における膝伸展筋力と筋活動量がどのように変化するのかについて検討することを目的とした。被験者は健康な成人男性9名とした。膝関節角度完全伸展位を0度として、30度、60度および90度屈曲位における等尺性の最大膝伸展筋力をBiodex System4でそれぞれ測定した。筋力発揮は、3つの関節角度において、右膝関節を綿包帯によって固定した場合(以下、固定有り)と、固定しない場合(以下、固定無し)でそれぞれ2回ずつ計測し、筋力値の高い方を分析の対象とした。また、筋活動量の評価として、筋力発揮時の大腿直筋、内側広筋、外側広筋の筋放電量を表面型筋電図法にて記録し、筋力の最大値が出現した前後0.5秒間(計1秒間)の単位時間あたりの積分値を算出した。さらに、各筋の相互作用について検討するために筋活動量の比をそれぞれ算出し、固定の有無による比較を行った。その結果、膝関節角度60度および90度における最大膝伸展筋力は、固定無しに比べ固定有りが有意に高い値を示したが、膝関節角度30度では、固定の有無による有意差は認められなかった。大腿直筋、内側広筋および外側広筋における筋活動量は、全ての関節角度において、固定の有無による有意な差は認められなかった。また、各筋の活動量の比についても、綿包帯固定の有無による有意な変化は認められなかった。以上の結果から、綿包帯による膝関節の固定は、筋力発揮に関わる筋群の活動を制限するなどの影響は認められないものの、大きな筋力発揮に適した膝関節角度(60度および90度)において筋力を増加させることが明らかとなった。今後は筋活動量以外で、筋力増加の原因となりうる要因について検討する必要性が示された。