[04生-ポ-17] 若齢女性に対する一過性の疲労困憊に至るレジスタンス運動実施後の時間経過に伴う筋硬度の変化
ヒトの骨格筋は過度な運動を行うと硬くなり、個人差はあるものの筋は数日後に元の状態へと回復していくことは経験的に知られている。しかしながら、一過性のレジスタンス運動実施後の筋硬度の経時的変化を調べた先行研究では、実験条件の違いから一致した見解は得られていない。また、女性を対象とした研究報告もみあたらない。女性の場合、月経周期によってホルモンの分泌量が変化するとともに筋硬度も変化する可能性が考えられるため、月経周期を考慮して筋硬度の変化を捉える必要がある。本研究は、荷重超音波装置(Bモード超音波装置のプローブに圧力計が内蔵され、加えた圧力に対する筋厚の変位量を経時的に計測できる装置)を用いて、若齢女性の上腕二頭筋に対する一過性のレジスタンス運動実施後の上腕前部(上腕長近位60%部位)の筋硬度の経時的変化を検討することを目的とした。このことにより、女性における一過性のレジスタンス運動実施後の筋のコンディションに応じた効果的なトレーニング計画策定につながることが期待できる。対象者は、定期的な運動習慣を有していない、月経周期が正常な若齢女性6名であった。対象者の月経期に合わせて、上腕二頭筋に対する一過性のレジスタンス運動を実施し、運動実施前と実施直後、24、48、72時間後の計5回、筋硬度の測定を行った。レジスタンス運動は、非利き手側におけるダンベルを用いたアームカール(30%MVC)とし、オールアウトするまでを1セット、休息2分間を挟みながら計3セット実施した。筋硬度は、一過性のレジスタンス運動実施前と実施直後で差はみられなかったが、運動終了24時間後及び48時間後には運動前よりも高い値を示し、72時間後には運動前の値に近づいた。このことから、若齢女性においても一過性のレジスタンス運動により微小断裂を生じた筋やその結合組織の修復と再構築には72時間程度の時間を要すると考えられた。