日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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ポスター発表(専門領域別)

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運動生理学(奇数演題)/ポスター発表

2023年9月1日(金) 10:00 〜 11:00 RY207 (良心館2階RY207番教室)

[04生-ポ-19] 女性アスリートにおける鉄欠乏性貧血および潜在性鉄欠乏状態に影響する要因の検討

*亀岡 舞1、池田 達昭1 (1. とちぎスポーツ医科学センター)


(目的)栃木県の女性アスリートにおける鉄欠乏性貧血(iron deficiency anemia:IDA)および潜在性鉄欠乏状態(Iron Depletion without Anemia :IDNA)に影響する要因を検討すること. (方法)栃木県の女性アスリート269人(年齢:17.2±4.6,BMI:21.7±2.4)を対象に血液検査を行った.貧血に関わる14の検査項目と,身体組成(身長,体重,体脂肪率,除脂肪体重)を測定した.身体組成のデータからBMIおよびLBMIの値を算出した.ヘモグロビン濃度,血清フェリチン値からIDA(ヘモグロビン12g/dL未満)およびIDNA(ヘモグロビン12g/dL以上,フェリチン35ng/mL未満)の選手を抽出し,正常値群(n=94)とIDA・IDNA群(n=175)の2群に分け平均値の差の検定を行った.検定には対応のないt検定を用いた.統計的有意水準は5%とした. (結果)対象者の65%がIDAまたはIDNAであった.貧血に関わる14の検査項目のうち,ヘモグロビン,フェリチンを含む8項目において,IDA・IDNA群が正常値群と比較して有意に低値を示した(p<0.05).また,年齢(正常値群:18.3±4.6 vs IDA・IDNA群:16.7±4.6),BMI(正常値群:22.3±2.6 vs IDA・IDNA群21.5±2.2),LBMI(正常値群:16.8±2.4 vs IDA・IDNA群16.1±2.0)において,IDA・IDNA群が,正常値群と比較して有意に低値を示した(p<0.01). (結論)IDAまたはIDNAの割合は65%であり,半数以上の女性アスリートが鉄欠乏状態を有していることが明らかとなった.さらに年齢が低い選手や,身長に対する体重および除脂肪体重が低い選手において,IDAまたはIDNAの選手が多いことが認められた.