[04生-ポ-29] 血中ビタミンD濃度が月経前症候群の主観的重症度に与える影響
【背景】月経前症候群(PMS)は月経開始前、黄体期の3~10日の間続く精神あるいは身体症状であり、月経開始とともに軽快ないし消失する(日本産婦人科学会,2018)。PMSの主な原因は明らかではないが、血中ビタミンD(VD)濃度の低値がPMS症状の強さと関連することが報告されている(Abdi F et al.,2019)。わが国における閉経前女性の多くは、血中VD濃度が基準値を下回っている(高岡ら,2017)が、血中VD濃度とPMS症状の主観的な強さとの関係については検討されていない。【目的】血中VD濃度がPMSの主観的重症度に与える影響について検討した。【方法】正常月経周期、PMS症状を有し運動習慣のない女性17名(年齢:22.6±1.8歳、体格指数:21.6±1.9 kg / m²、月経周期:31.2±3.3日)を対象とした。測定は黄体期に実施し、座位安静後採血を行った。血中VDは、血清25(OH)D ₃濃度および血清1,25(OH)₂D濃度を用いて分析し、評価した。主観的重症度は、Daily Record of Severity of Problems(DRSP) を用いて評価し月経開始前10日間の合計スコアを算出した。【結果】血清25(OH)D濃度は14.9±3.1ng/mLであり、全員が基準値を下回っていた。この内16名が欠乏状態であった。さらに、血清1,25(OH)₂D₃濃度は55.1±17.5pg/mLであり、12名が基準値内、5名が基準値を上回っていた。DRSPのスコアは38.8±10.4点であった。血清25(OH)Dおよび血清1,25(OH)₂D₃濃度とPMSの主観的重症度との間に、有意な相関関係は認められなかった。【結論】血中VD濃度とPMSの主観的重症度には明らかな関連性は認められなかった。