日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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ポスター発表(専門領域別)

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測定評価(偶数演題)/ポスター発表

2023年9月1日(金) 13:20 〜 13:50 RY208 (良心館2階RY208番教室)

[08測-ポ-34] 自転車エルゴメーターを用いたアネロビックパワーリザーブの算出方法

*白木 駿佑1 (1. 国立スポーツ科学センター)


アネロビックパワーリザーブとは、無酸素性パワーと有酸素性パワーの差分であり、対象者(アスリートなど)の身体特性を簡便に評価することが可能である。そして、各パワー値2点を結んだ時間−パワー曲線を強度指標として用いることが注目されている。しかしながら、各パワー値の算出方法や曲線の指数については確立されていない。
本研究の目的は、有酸素性パワーおよび無酸素性パワーの指標を複数測定し、アネロビックパワーリザーブの指数曲線のフィッティングをもとに、より精度の高い算出方法について検討することであった。
対象者は大学陸上競技部に所属する男性6名とした。有酸素性パワーの測定には、漸増負荷テストと3分間テストを行わせ、それぞれ平均発揮パワーを算出した。無酸素性パワーの測定には、6秒間テストを行わせ、1〜6秒間における平均発揮パワーを算出した。フィッティングの検証には、1分および2分程度で疲労困憊に至るテストをそれぞれ行わせ、指数曲線の回帰式から算出される推定値との差分を算出し、比較した。なお、自転車エルゴメーターはWattbike ATOMXを用いた。
その結果、有酸素性パワーには3分間テスト、無酸素性パワーには6秒間テストの6秒平均発揮パワーを用いた算出方法が最もフィッティングが高かった(推定値との差4.3±2.7%, n=12)。さらに、回帰式の指数を修正(k=0.025)したところフィッティングが高まった(推定値との差3.9±3.7%, n=12)。
したがって、自転車エルゴメーターを用いたアネロビックパワーリザーブの算出には、3分間と6秒間の平均発揮パワーを用いることで時間−パワーの曲線回帰式をより高い精度で運用できる可能性が示唆された。