[13ア-ポ-09] 国内トップレベルの車いすテニス選手における試合中の有酸素性能力
本研究は、国内トップレベルの車いすテニス選手における試合中の生理学的応答を明らかにすることを目的とした。対象者は、パラリンピック選手を含む国内トップレベルの車いすテニス選手6名(男子2名、女子4名)であった。本研究では、異なる2つの条件下(1.ラボテスト、2.オンコートテスト)にて測定を実施した。1)ラボテストでは、ハンドエルゴメータを用いて、乳酸カーブテストと最大酸素摂取量テストを実施した。男子選手は40 W、女子選手は20 Wから運動を開始し、1ステージを3分間、ステージ毎に20 Wずつ漸増する方法で実施した。ステージ間には、1分間の休息を設けた。選手には携帯型呼気ガス代謝モニター(Metamax 3B)を装着してもらい、運動中の酸素摂取量をbreath-by-breath法にて測定した。また、選手の運動中の心拍数は心拍センサー(Polar)にて取得した。さらに、各ステージ間の休息中には、耳朶より血中乳酸濃度を測定した。血中乳酸濃度が4 mmol/Lを超えてからは、1分毎に負荷を10 Wずつ漸増し、オールアウトまで実施した。2)オンコートテストでは、2セットマッチのゲームを屋内ハードコートで実施し、ラボテストと同様に試合中の酸素摂取量および心拍数を測定した。その結果、ラボテストにおける最大酸素摂取量は37.0±6.5 ml/min/kg、最大心拍数は191±8 bpmであった。一方、オンコートテストにおける平均酸素摂取量は20.3±1.8 ml/min/kg、平均心拍数は140±12 bpmであった。このことから、国内トップレベルの車いすテニス選手では、ラボテストの最大酸素摂取量および最大心拍数に対するゲーム中の平均酸素摂取量の割合は56.0±6.7%、平均心拍数の割合は73.7±8.2%であることが明らかになった。