The 73rd Conference of the Japan Society of Physical Education, Health and Sports Sciences

Presentation information

Poster (Subdiscipline)

専門領域別 » 体育方法

体育方法(偶数演題)/ポスター発表

Fri. Sep 1, 2023 2:00 PM - 3:00 PM RY446 (良心館4階RY446番教室)

[09方-ポ-04] コーチの統制的行動と支援的行動が競技者のセルフハンディキャップおよび目標志向性に及ぼす影響

自尊心およびスポーツ競技特性不安に着目して

*Hitomi Sakugawa1, Kazuaki Sakai1 (1. Mukogawa Women's University)


スポーツ指導者とは、競技者やチームを育成し、目標達成のために最大限のサポートをする人と定義されている。同時に、コーチの言動や態度が選手の動きや情動、時にはパフォーマンス自体を左右することがあると指摘されているように、スポーツ指導者は競技者の身体的、心理的な成長へ影響を与える重要な存在でもある。 戸山ら(2019)は、指導者の統制的行動という社会的文脈が、競技者の目に見えない内面の基本的心理欲求を媒介し、競技者の動機づけ(なぜスポーツに取り組むのかという思考)に影響を与えるモデルの有効性を検証している。基本的心理欲求以外にも、競技者の目に見えない内面の心理的特性には、自尊心や不安感情などが挙げられる。また、競技者の思考としては、良い結果が出ても悪い結果が出ても自尊心が傷つかずに済むために事前に言い訳を準備するセルフハンディキャップ(SHC)を挙げることができる。SHCは、達成を阻害する非適応的なものであり回避すべきものであると考えられている。さらに、成功のためならリスクを進んで受け入れる利得接近志向や、その逆の失敗しないように慎重にリスクを避けるなどの損失回避志向もまた、競技者の思考として重要な研究課題になると考えられる。 しかしこれらは、これまで単独で研究対象とされており、指導者の統制的行動や支援的行動といった社会的文脈が競技者の内面を媒介した上で思考として現れてくるというモデルを用いて検証されてはいない。これらの関係性を構造的に明らかにすることができれば、挑戦する思考や失敗を成長の機会と捉えることができる競技者育成に有用な知見を得ることができると考えられる。 そこで本研究では、指導者の統制的行動と支援的行動が競技者のセルフハンディキャップおよび目標志向性に及ぼす影響を、基本的心理欲求、自尊心およびスポーツ競技特性不安と関連づけて明らかにすることを目的とした。