60th Annual Meeting in Autumn

Presentation information

臨床(認定医・専門医)ポスター

メインテナンス・SPT

臨床(認定医・専門医)ポスター
メインテナンス・SPT

Sun. Dec 17, 2017 9:00 AM - 4:50 PM ポスター会場 (さくら)

DP-54~DP-64
(ポスター討論:12:00~12:50)

[DP-61] 咬合崩壊をともなう重度慢性歯周炎患者に対し包括的治療を行った10年経過症例

A case of comprehensive treatment at a severe chronic periodontitis with posterior bite collapse in 10years

笹生 宗賢/Munekata Sasoh (むね歯科クリニック/Mune Dental Clinic)

研修コード:2504

Keywords:重度慢性歯周炎、咬合崩壊、包括的治療

【症例の概要】2005年5月初診 女性(初診時57歳)主訴:「前歯が出てきた下の奥歯が腫れている」全身的特記事項なし。
【治療方針】歯周基本治療後,再評価検査を行う。欠損にはインプラント埋入を含めた補綴を適用する。インプラント部を固定源として全顎的な矯正治療を行い,咬合の安定と歯列形態の修正を図り,SPTへ移行する。
【治療経過】歯周基本治療後に保存困難歯(17, 16, 24, 37, 47)を抜歯。再評価後に根管治療(12, 27, 34)を行い,残存歯周ポケット(12, 13, 14, 22, 23, 24, 31, 32, 33, 41, 42, 43)に対し歯周外科治療にて起炎因子の排除。欠損部にインプラントを埋入し暫間補綴治療により咬合の安定を図った上でインプラント部を固定源として全顎的矯正治療を開始し歯列形態の修正を行った。歯列と組織の安定が確認された後に口腔機能回復治療を行いSPTへ移行した。
【考察・結論】前歯の挺出や捻転を訴える場合,歯周炎により臼歯部の咬合支持を喪失していることがある。主訴と原因の乖離のため歯周炎の悪化という理解を得られない場合があり,支持骨量や動揺のみを理由に抜歯すると信頼関係を失うおそれがある。歯周治療により炎症のコントロール,インプラントと補綴治療により力のコントロールが適切に行えれば,主訴である歯列不正を解消するための矯正治療が有効に行口腔内を健康に維持できる事が可能になると考えられる。本症例では患者の協力を得て術後10年にわたり3ヶ月ごとのSPTを継続し,また咬合力の弱さにも助けられて全体的に安定した経過を辿っている。今後とも継続して経過観察を行っていく予定である。