[HP-05] 家族性リポ蛋白リパーゼ欠損症および2型糖尿病に罹患した重度慢性歯周炎患者に対する非外科的歯周治療の効果を実感した一症例
A case report of non-surgical periodontal therapy for the severe periodontitis patient with familial lipoprotein lipase deficiency and type 2 diabetes mellitus
研修コード:2504
Keywords:家族性リポ蛋白リパーゼ欠損症、糖尿病、非外科的歯周治療
【緒言】全身疾患を有する重度慢性歯周炎患者に対して,非外科的歯周治療を行い,口腔および全身の改善に貢献できた症例を報告する。
【概要】患者:50歳,女性。初診:2012年4月。主訴:全顎的な歯の動揺。
2011年7月,全顎的な歯肉腫脹と歯の動揺を自覚したが,多忙のため歯科を受診しなかった。2012年3月,近医を受診したが総義歯による治療しかないと言われて不安になり,当科を受診した。
既往歴:家族性リポ蛋白リパーゼ欠損症(TG 3, 103mg/dL),高血圧(197/102mmHg),2型糖尿病(HbA1c 7.0%),急性膵炎(2013年)
【検査所見】口腔衛生状態は悪く(PCR:100%),全顎的に歯肉が発赤・腫脹していた(BOP率:100%,7mm以上PPD率:78%)。臼歯部は残根状態のため咬合支持はなく,前歯部がフレアーアウトしていた。
【診断】広汎型重度慢性歯周炎,二次性咬合性外傷
【治療計画】内科医と連携して,①歯周基本治療(患者教育,抜歯,即時義歯装着,抗菌薬併用SRP,暫間固定),②口腔機能回復治療,③SPT
【治療経過】血圧は管理され,全身状態を把握しながら歯周病治療が進められた。残根と骨植がない歯の抜歯後に義歯による咬合が確保され,現在歯の歯肉縁下の感染源が除去されると,歯槽骨が再生した。現在,3年間にわたる3ヵ月毎のSPTで良好な口腔状態を維持し,全身状態も改善してきた(HbA1c 5.9%,TG 2,000mg/dL)。
【考察】脂質代謝性疾患を罹患していても,非外科的な対応で歯槽骨は再生し,全身状態も改善できた。歯周病治療が全身の健康維持に不可欠であることを患者共々実感した。
【概要】患者:50歳,女性。初診:2012年4月。主訴:全顎的な歯の動揺。
2011年7月,全顎的な歯肉腫脹と歯の動揺を自覚したが,多忙のため歯科を受診しなかった。2012年3月,近医を受診したが総義歯による治療しかないと言われて不安になり,当科を受診した。
既往歴:家族性リポ蛋白リパーゼ欠損症(TG 3, 103mg/dL),高血圧(197/102mmHg),2型糖尿病(HbA1c 7.0%),急性膵炎(2013年)
【検査所見】口腔衛生状態は悪く(PCR:100%),全顎的に歯肉が発赤・腫脹していた(BOP率:100%,7mm以上PPD率:78%)。臼歯部は残根状態のため咬合支持はなく,前歯部がフレアーアウトしていた。
【診断】広汎型重度慢性歯周炎,二次性咬合性外傷
【治療計画】内科医と連携して,①歯周基本治療(患者教育,抜歯,即時義歯装着,抗菌薬併用SRP,暫間固定),②口腔機能回復治療,③SPT
【治療経過】血圧は管理され,全身状態を把握しながら歯周病治療が進められた。残根と骨植がない歯の抜歯後に義歯による咬合が確保され,現在歯の歯肉縁下の感染源が除去されると,歯槽骨が再生した。現在,3年間にわたる3ヵ月毎のSPTで良好な口腔状態を維持し,全身状態も改善してきた(HbA1c 5.9%,TG 2,000mg/dL)。
【考察】脂質代謝性疾患を罹患していても,非外科的な対応で歯槽骨は再生し,全身状態も改善できた。歯周病治療が全身の健康維持に不可欠であることを患者共々実感した。