日本歯周病学会60周年記念京都大会

講演情報

一般演題ポスター

組織再生

一般演題ポスター
組織再生

2017年12月16日(土) 09:00 〜 17:00 ポスター会場 (さくら)

P-079~P-086
(ポスター討論:11:40~12:30)

[P-081] 間葉系幹細胞集塊Clumps of MSCs/ECM complexesは歯周組織再生を促進する

Clumps of MSCs/ECM complexes induce periodontal tissue regeneration

竹脇 学,加治屋 幹人,武田 克浩,佐々木 慎也,小松 奈央,本池 総太,應原 一久,水野 智仁,藤田 剛,栗原 英見/Manabu Takewaki,Mikihito Kajiya,Katuhiro Takeda,Shinya Sasaki,Nao Komatsu,Souta Motoike,Kazuhisa Ouhara,Noriyoshi Mizuno,Tsuyoshi Fujita,Hidemi Kurihara (広島大学大学院医歯薬保健学研究科 応用生命科学部門 歯周病態学研究室/Department of Periodontal Medicine, Hiroshima Univ)

研修コード:2504

キーワード:再生医療、歯周病、間葉系幹細胞

【目的】骨髄間葉系幹細胞(MSC)と細胞自身が産生する細胞外基質(ECM)からなる間葉系幹細胞集塊Clumps of MSCs/ECM complexes (C-MSCs)は,人工の足場材料を必要とせずに三次元的にMSCsを培養,移植可能で,効果的な骨組織再生能を示す(Cytotherapy,2015)。本研究では,C-MSCs移植による歯周組織再生効果についてビーグル犬根分岐部III級欠損モデルを用いて検討した。
【方法】MSCを移植予定のビーグル犬腸骨から採取し,24穴培養皿に7.0×10 4cells/wellで播種し,50μg/mlアスコルビン酸含有の増殖培地で培養し十分なECMを産生させた。細胞シートの状態で剥離,浮遊させ,さらに培養を継続しC-MSCsを得た。また,石灰化誘導を施したC-MSCs(OIM-C-MSCs)を調製した。これらのC-MSCsをビーグル犬根分岐部III級欠損に移植した。対象として非移植群をもうけ,処置8週および12週間後に屠殺。組織計測およびCT解析を行った。
【結果と考察】8週間後において非移植群では歯肉上皮の侵入を認め,セメント質の再生は限定的であった。一方,C-MSCs,OIM-C-MSCs移植群ともに歯肉上皮の侵入は観察されず,セメント質および機能的な歯周靱帯の再生を認めた。さらに,アンキローシス,根吸収等の有害事象も認めなかった。また,欠損部では根面に沿った歯槽骨の輪郭再形成を認め,その骨再生量はC-MSCs移植群と比較し,OIM-C-MSCsが有意に高い値を示した。
しかし,12週間後では,C-MSCs,OIM-C-MSCsともに十分な歯周組織の再生促進が観察された。同様の所見がCTを用いた解析でも得られた。以上のことから,C-MSCsはビーグル犬根分岐部III級欠損において歯周組織再生を促進することが示された。