[P-KS-25-2] 廃用性筋萎縮の回復期における筋衛星細胞を活性化するヌクレオプロテインの効果と作用成分の検証
キーワード:ヌクレオプロテイン, ヌクレオチド, 筋衛星細胞
【はじめに,目的】
骨格筋の回復には筋線維の肥大が重要であり,形質膜と基底膜の間にある筋衛星細胞(SCs)の存在が重要な役割を担っている。SCsは刺激が加わると増殖・分化を繰り返し,筋線維を形成して組織恒常性を維持すると報告されている。先行研究で廃用性筋萎縮モデルの回復期間にヌクレオプロテイン(NP)を摂取させることでSCsの細胞周期を促通することを報告した。一方,NPはヌクレオチド及びアミノ酸の混合物であり,SCsへの作用はどちらの栄養素が主に作用しているかは明らかでない。そこで本研究では廃用性筋萎縮後の回復期におけるSCsに与える効果の検証とその作用がNPに含まれるヌクレオチドか,アミノ酸に由来するかを明確化することとした。
【方法】
12週齢の雌性Wistar系ラット39匹を通常飼育群+非NP含有飼料群(CON群),通常飼育+NP含有飼料群(CON+NP群),後肢非荷重群+非NP含有飼料群(HU群),後肢非荷重+NP含有飼料群(HU+NP群),再荷重群+非NP含有飼料群(HUR群),再荷重+NP含有飼料群(HUR+NP群)の6群に区分した。非NP含有飼料群は21%カゼインを含む通常飼料を用い,NP含有飼料群は8.5%カゼインと14.8%NPを含む飼料を用いた。NP含有飼料群は非NP含有飼料群と同量のアミノ酸量となるように配合すると共に筋再生に影響の大きいロイシン含有量も統一した。HU群,HU+NP群,HUR群及びHUR+NP群は14日間の非荷重を行い,HUR群及びHUR+NP群は非荷重後に5日間の回復期間を設けた。実験終了後にヒラメ筋を摘出し,急速凍結した。筋試料は凍結切片を作製し,ミオシンATPase染色を施した後,筋線維横断面積(CSA)を計測した。また,免疫組織化学染色により活性化したSCs(抗MyoD),活性化から分化・融合のSCs(抗myogenin),DAPIによる核染色を施し,筋線維あたりの陽性核数を算出した。得られた測定値の統計処理には二元配置分散分析とTukeyによる多重比較検定を用い,有意水準は5%未満とした。
【結果】
HU群,HU+NP群のCSAは各々CON群,CON+NP群と比較して有意に低値を示したが,HU群とHU+NP群では有意差を示さなかった。一方,回復期間においてHUR群とHUR+NP群のCSAはHU群とHU+NP群に比較して有意に高値を示した。また,HUR+NP群はHUR群と比較して有意に高値を示した。HUR+NP群のMyoD陽性核はHUR群と比較して有意に低値を示した。一方,HUR+NP群のmyogenin陽性核や筋核はHUR群と比較して有意に高値を示した。
【結論】
本研究の結果から廃用性筋萎縮後の回復期では,ヌクレオプロテインを摂取することでヌクレオプロテインに含まれるヌクレオチドの効果により筋衛星細胞の細胞周期を促進し,筋核数を増加させ,筋再生を促進することが明確になった。また,アミノ酸の摂取も萎縮からの回復に有効であることからヌクレオチドとアミノ酸を含有するヌクレオプロテインの摂取は,筋の回復をより一層促進する有効な栄養素であることが示された。
骨格筋の回復には筋線維の肥大が重要であり,形質膜と基底膜の間にある筋衛星細胞(SCs)の存在が重要な役割を担っている。SCsは刺激が加わると増殖・分化を繰り返し,筋線維を形成して組織恒常性を維持すると報告されている。先行研究で廃用性筋萎縮モデルの回復期間にヌクレオプロテイン(NP)を摂取させることでSCsの細胞周期を促通することを報告した。一方,NPはヌクレオチド及びアミノ酸の混合物であり,SCsへの作用はどちらの栄養素が主に作用しているかは明らかでない。そこで本研究では廃用性筋萎縮後の回復期におけるSCsに与える効果の検証とその作用がNPに含まれるヌクレオチドか,アミノ酸に由来するかを明確化することとした。
【方法】
12週齢の雌性Wistar系ラット39匹を通常飼育群+非NP含有飼料群(CON群),通常飼育+NP含有飼料群(CON+NP群),後肢非荷重群+非NP含有飼料群(HU群),後肢非荷重+NP含有飼料群(HU+NP群),再荷重群+非NP含有飼料群(HUR群),再荷重+NP含有飼料群(HUR+NP群)の6群に区分した。非NP含有飼料群は21%カゼインを含む通常飼料を用い,NP含有飼料群は8.5%カゼインと14.8%NPを含む飼料を用いた。NP含有飼料群は非NP含有飼料群と同量のアミノ酸量となるように配合すると共に筋再生に影響の大きいロイシン含有量も統一した。HU群,HU+NP群,HUR群及びHUR+NP群は14日間の非荷重を行い,HUR群及びHUR+NP群は非荷重後に5日間の回復期間を設けた。実験終了後にヒラメ筋を摘出し,急速凍結した。筋試料は凍結切片を作製し,ミオシンATPase染色を施した後,筋線維横断面積(CSA)を計測した。また,免疫組織化学染色により活性化したSCs(抗MyoD),活性化から分化・融合のSCs(抗myogenin),DAPIによる核染色を施し,筋線維あたりの陽性核数を算出した。得られた測定値の統計処理には二元配置分散分析とTukeyによる多重比較検定を用い,有意水準は5%未満とした。
【結果】
HU群,HU+NP群のCSAは各々CON群,CON+NP群と比較して有意に低値を示したが,HU群とHU+NP群では有意差を示さなかった。一方,回復期間においてHUR群とHUR+NP群のCSAはHU群とHU+NP群に比較して有意に高値を示した。また,HUR+NP群はHUR群と比較して有意に高値を示した。HUR+NP群のMyoD陽性核はHUR群と比較して有意に低値を示した。一方,HUR+NP群のmyogenin陽性核や筋核はHUR群と比較して有意に高値を示した。
【結論】
本研究の結果から廃用性筋萎縮後の回復期では,ヌクレオプロテインを摂取することでヌクレオプロテインに含まれるヌクレオチドの効果により筋衛星細胞の細胞周期を促進し,筋核数を増加させ,筋再生を促進することが明確になった。また,アミノ酸の摂取も萎縮からの回復に有効であることからヌクレオチドとアミノ酸を含有するヌクレオプロテインの摂取は,筋の回復をより一層促進する有効な栄養素であることが示された。