第51回日本理学療法学術大会

講演情報

一般演題ポスター

日本基礎理学療法学会(JSPTF・JFPT) 一般演題ポスター
基礎P32

2016年5月29日(日) 10:00 〜 11:00 第11会場 (産業振興センター 2階 セミナールームA)

[P-KS-32-4] 回復期リハビリテーション病棟入院時の下腿最大周径と各基本動作の自立度の関係性

~日常生活機能表を用いて~

遠藤佳章1,2, 鈴木裕子1, 三浦寛貴1,2, 屋嘉比章紘1,2, 鈴木宗弘1, 田崎正倫1, 小野寺慎之助1, 大平和弥1, 久保晃3 (1.国際医療福祉大学塩谷病院リハビリテーション室, 2.国際医療福祉大学大学院保健医療学専攻, 3.国際医療福祉大学保健医療学部)

キーワード:下腿最大周径, 日常生活機能表, 自立度

【背景・目的】

下腿最大周径(以下:MCC)は簡易的で非侵襲的に測定可能であり,栄養状態の評価や全身の筋肉量の評価といった全身状態が推定可能な指標である。また,MCCは日常生活動作の指標と有意な相関があるといった先行研究がある。しかしながら,具体的にどの基本動作の自立度が,MCCとの関わりが深いのかといった研究はない。

そこで本研究では,回復期リハビリテーション病棟入院時のMCCを測定し,各基本動作の自立度との関係性を明らかにすることを目的とした。


【対象】

対象は当院回復期リハビリテーション病棟に平成27年3月から11月に入院した患者62名(年齢77.9±11.6歳,男性29例,女性33例)とした。対象者の主たる疾患の内訳は,脳血管系疾患35例,運動器系疾患27例である。入院時FIMは71.7±30.0点である。発症からの期間は40.5±19.6日である。


【方法】

MCC測定は,当院回復期リハビリテーション病棟に入院してから2週間以内に,当院理学療法士が行った。測定部位は,対象者の非障がい側もしくは障がいの軽度な側の下腿を選択した。松田らの報告を参考とし,腓骨頭下端から外果中央までの下腿長を100%とする場合に,腓骨頭下端から26%の位置で測定した。

日常生活機能評価については,当院看護師が入院時に評価した各動作項目(寝返り・起き上がり・座位保持・移乗・移動方法)の自立度をカルテより後方視的に抽出した。

各動作において完全に自立している群(以下;自立群)と見守り・一部介助・修正自立を含んだ自立していない群(以下;非自立群)に分け,MCCについて対応のないt検定をおこなった。有意水準は5%とした。


【結果】

寝返りでは自立群は17名MCC 31.2±3.3cm,非自立群は45名MCC 29.3±2.9cmとなった。起き上がりでは,自立群は41名MCC:30.9±2.4cm,非自立群は21名MCC:27.7±3.2cmとなった。座位保持では,自立群は34名MCC:31.1±2.6cm,非自立群は28名MCC 28.2±3.0cmとなった。移乗では,自立群は14名MCC 31.6±2.8cm,非自立群は48名MCC 29.3±3.0cmとなった。移動方法では,自立群は11名MCC 31.3±2.0cm,非自立群は51名MCC 29.5±3.2cmとなった。

寝返り・起き上がり・座位保持・移乗での自立群と非自立群の間に有意な差が認められた。移動での自立群と非自立群の間では有意な差が認められなかった。


【考察】

本研究では入院時の寝返り・起き上がり・座位保持・移乗の自立度によりMCCに特徴が存在することが示唆された。

今後は退院時の基本動作の自立度および自立度変化とMCCとの関係を明らかにしていくことで,理学療法評価の一助としたい。