[P-MT-24-2] 整形外科疾患患者の歩行速度に前方リーチ距離と等尺性膝伸展筋力が及ぼす影響
Keywords:歩行速度, 前方リーチ距離, 等尺性膝伸展筋力
【目的】下肢筋力と立位バランスの2つの変量を用いた場合,より正確に虚弱高齢者の歩行自立度を予測し得る(森尾,2007)。胸・腰椎疾患患者における検討でも,歩行速度に膝伸展筋力とFunctional Reach Test(FRT)の成績が関与していた(山本,2015)。今回,他の整形外科的疾患を有する症例の歩行速度を予測する上で2つの変量が有用か否かを検討した。
【方法】対象は60歳以上で整形外科的疾患を有し,独歩での通院が可能な症例である。除外基準は,研究に対して同意が得られなかった者,疼痛の急性期及び明らかな中枢神経系疾患を有する者,認知症などによって指示理解が困難な者とした。上記の基準に照らし得られた症例数は793名(男性108名,女性685名,年齢74.2±7.1歳)であった。疾患の内訳は重複例も含み,膝関節疾患557名,胸腰椎疾患311名,上部疾患69名,股関節疾患46名,足関節疾患9名であった。上記の対象者の身長,体重,年齢,歩行速度,FRT,膝伸展筋力(アニマ社製 徒手筋力計測器μTasF-1)の6項目を調査・測定した。なお膝伸展筋力は左右の平均値を体重で除したものを採用した。分析は上記評価項目で重回帰分析を行い,歩行速度と関連の強い因子を特定した。次に虚弱高齢者の院内歩行が自立するFRTのcut off値26cm(森尾,2007)と歩行速度が1.0m/secを上回る膝伸展筋力のcut off値0.36kgf/kg(大森,2005)を参考にGroupを分けた。まずFRT26cm以上で,膝伸展筋力0.36 kgf/kg以上をGroup1,FRT26cm以上,膝伸展筋力0.36 kgf/kg未満をGroup2,FRT26cm未満,膝伸展筋力0.36 kgf/kg以上をGroup3,FRT26cm未満,膝伸展筋力0.36 kgf/kg未満をGroup4とし,各Group内で歩行速度が1.0m/secを上回った症例を調査した。
【結果】歩行速度との偏相関係数は,FRT r=-0.31,膝伸展筋力r=-0.29,年齢r=0.19,身長r=0.01,体重r=-0.002であり,FRTと膝伸展筋力に強い関係性が見られた。歩行速度が1.0 m/sec以上の症例が占める割合は,Group1,2,3,4の順に,197/202名(98%),208/237名(88%),95/115名(83%),161/239名(67%)で,各群間で有意差がみられた(p<0.01)。Group1においてはほとんどの症例において歩行速度が1.0m/secを上回った。
【結論】多様な整形外科疾患を有する症例でも立位バランス能力と膝伸展筋力の両者が歩行速度に影響を及ぼすことが示唆された。またFRT26cm以上で,膝伸展筋力0.36 kgf/kg以上の症例では,高い確率で1.0m/sec以上の歩行速度を獲得することが可能と考えられた。
【方法】対象は60歳以上で整形外科的疾患を有し,独歩での通院が可能な症例である。除外基準は,研究に対して同意が得られなかった者,疼痛の急性期及び明らかな中枢神経系疾患を有する者,認知症などによって指示理解が困難な者とした。上記の基準に照らし得られた症例数は793名(男性108名,女性685名,年齢74.2±7.1歳)であった。疾患の内訳は重複例も含み,膝関節疾患557名,胸腰椎疾患311名,上部疾患69名,股関節疾患46名,足関節疾患9名であった。上記の対象者の身長,体重,年齢,歩行速度,FRT,膝伸展筋力(アニマ社製 徒手筋力計測器μTasF-1)の6項目を調査・測定した。なお膝伸展筋力は左右の平均値を体重で除したものを採用した。分析は上記評価項目で重回帰分析を行い,歩行速度と関連の強い因子を特定した。次に虚弱高齢者の院内歩行が自立するFRTのcut off値26cm(森尾,2007)と歩行速度が1.0m/secを上回る膝伸展筋力のcut off値0.36kgf/kg(大森,2005)を参考にGroupを分けた。まずFRT26cm以上で,膝伸展筋力0.36 kgf/kg以上をGroup1,FRT26cm以上,膝伸展筋力0.36 kgf/kg未満をGroup2,FRT26cm未満,膝伸展筋力0.36 kgf/kg以上をGroup3,FRT26cm未満,膝伸展筋力0.36 kgf/kg未満をGroup4とし,各Group内で歩行速度が1.0m/secを上回った症例を調査した。
【結果】歩行速度との偏相関係数は,FRT r=-0.31,膝伸展筋力r=-0.29,年齢r=0.19,身長r=0.01,体重r=-0.002であり,FRTと膝伸展筋力に強い関係性が見られた。歩行速度が1.0 m/sec以上の症例が占める割合は,Group1,2,3,4の順に,197/202名(98%),208/237名(88%),95/115名(83%),161/239名(67%)で,各群間で有意差がみられた(p<0.01)。Group1においてはほとんどの症例において歩行速度が1.0m/secを上回った。
【結論】多様な整形外科疾患を有する症例でも立位バランス能力と膝伸展筋力の両者が歩行速度に影響を及ぼすことが示唆された。またFRT26cm以上で,膝伸展筋力0.36 kgf/kg以上の症例では,高い確率で1.0m/sec以上の歩行速度を獲得することが可能と考えられた。