[P-SP-03-3] 飛込競技ナショナルジュニア選手における傷害調査
肩甲帯柔軟性の変化に着目して
キーワード:傷害調査, 柔軟性, メディカルチェック
【はじめに,目的】
飛込競技は高さ1m・3mの弾力性のある飛板,あるいは5m・7m・10mの固定台から飛込む採点競技である。
傷害発生に関する先行研究では,入水時に腰痛が多く発生し,その腰痛発症には肩甲帯の柔軟性が関与していることが明らかにされた。
そこで,2014年ナショナルジュニア合宿参加者の1年間の傷害発生状況および肩甲帯の柔軟性(肩回旋幅)を測定し,現役選手の傷害予防策を講じるための一助とした。
【方法】
対象は2014年飛込競技ナショナルジュニア合宿に参加した男性14名,女性8名,計22名とした。
傷害発生状況を把握するため合宿参加前1年間の傷害調査を実施した。傷害の定義は,飛込競技によって生じ,練習を1日以上休んだものとした。
肩甲帯の柔軟性の指標として肩回旋幅(cm)の測定を行った。2回測定し平均値を肩回旋幅とした。
肩回旋幅の結果を2014年参加者と2003~2010年参加者(男性60名,女性56名,計116名)の結果を参考とし,比較検討を行った。肩回旋幅は対応のないt検定を用い,肩回旋幅の平均値を全選手(男女),男性選手,女性選手間で比較した。有意水準は5%とした。
【結果】
合宿参加前1年間の傷害発生状況:2014年合宿参加者20名中,過去1年間に傷害を経験した選手は10名(50.0%)であった。また,傷害総数は12件であり全体の50%が腰部であった。2003~2010年合宿参加者92名中,過去1年間に傷害を経験した選手は43名(46.7%)であった。また,傷害総数は49件であり全体の49%が腰部であった。
2014年群の参加者は,過去群の合宿参加者と同様に腰痛を抱えながら競技を行っている選手が多い結果となった 肩回旋幅:全選手(男女)の肩回旋幅は,2014年は55.5±19.5cm,2003~2010年は39.6±19.6cmであり,肩甲帯の柔軟性は有意に低下していた。女性選手の肩回旋幅は2014年では46.3±8.8cm,2003~2010年は26.3±15.6cmであり,肩甲帯の柔軟性は有意に低下していた。また,男性選手の肩回旋幅は2014年では60.8±22.0cm,2003~2010年は52.0±14.1cmであり,肩甲帯の柔軟性は低下傾向であった。
【結論】
2014年合宿参加者の肩甲帯柔軟性は全選手(男女),女性選手において,2003~2010年合宿参加者よりも有意に低下していた。傷害調査の結果から,2014年合宿参加者は,2003~2010年と同様に腰痛を抱えながら競技を行っている選手が多い結果となった。2003~2010年に対して2014年の腰痛者の割合が減少していないのは,肩甲帯の柔軟性が低下しているためだと考える。
そのため今後,練習内容の検討や適切なストレッチ指導を行い肩甲帯の柔軟性を改善する必要があると考える。また,頻回にメディカルチェックを実施することで筋の柔軟性の変化について早期に対処することが重要であるという報告があるため,飛込競技も同様に柔軟性に対する項目を継続して実施する必要があると考える。
飛込競技は高さ1m・3mの弾力性のある飛板,あるいは5m・7m・10mの固定台から飛込む採点競技である。
傷害発生に関する先行研究では,入水時に腰痛が多く発生し,その腰痛発症には肩甲帯の柔軟性が関与していることが明らかにされた。
そこで,2014年ナショナルジュニア合宿参加者の1年間の傷害発生状況および肩甲帯の柔軟性(肩回旋幅)を測定し,現役選手の傷害予防策を講じるための一助とした。
【方法】
対象は2014年飛込競技ナショナルジュニア合宿に参加した男性14名,女性8名,計22名とした。
傷害発生状況を把握するため合宿参加前1年間の傷害調査を実施した。傷害の定義は,飛込競技によって生じ,練習を1日以上休んだものとした。
肩甲帯の柔軟性の指標として肩回旋幅(cm)の測定を行った。2回測定し平均値を肩回旋幅とした。
肩回旋幅の結果を2014年参加者と2003~2010年参加者(男性60名,女性56名,計116名)の結果を参考とし,比較検討を行った。肩回旋幅は対応のないt検定を用い,肩回旋幅の平均値を全選手(男女),男性選手,女性選手間で比較した。有意水準は5%とした。
【結果】
合宿参加前1年間の傷害発生状況:2014年合宿参加者20名中,過去1年間に傷害を経験した選手は10名(50.0%)であった。また,傷害総数は12件であり全体の50%が腰部であった。2003~2010年合宿参加者92名中,過去1年間に傷害を経験した選手は43名(46.7%)であった。また,傷害総数は49件であり全体の49%が腰部であった。
2014年群の参加者は,過去群の合宿参加者と同様に腰痛を抱えながら競技を行っている選手が多い結果となった 肩回旋幅:全選手(男女)の肩回旋幅は,2014年は55.5±19.5cm,2003~2010年は39.6±19.6cmであり,肩甲帯の柔軟性は有意に低下していた。女性選手の肩回旋幅は2014年では46.3±8.8cm,2003~2010年は26.3±15.6cmであり,肩甲帯の柔軟性は有意に低下していた。また,男性選手の肩回旋幅は2014年では60.8±22.0cm,2003~2010年は52.0±14.1cmであり,肩甲帯の柔軟性は低下傾向であった。
【結論】
2014年合宿参加者の肩甲帯柔軟性は全選手(男女),女性選手において,2003~2010年合宿参加者よりも有意に低下していた。傷害調査の結果から,2014年合宿参加者は,2003~2010年と同様に腰痛を抱えながら競技を行っている選手が多い結果となった。2003~2010年に対して2014年の腰痛者の割合が減少していないのは,肩甲帯の柔軟性が低下しているためだと考える。
そのため今後,練習内容の検討や適切なストレッチ指導を行い肩甲帯の柔軟性を改善する必要があると考える。また,頻回にメディカルチェックを実施することで筋の柔軟性の変化について早期に対処することが重要であるという報告があるため,飛込競技も同様に柔軟性に対する項目を継続して実施する必要があると考える。