The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本理学療法教育学会 » 口述発表

[O-ED-05] 口述演題(教育)05

臨床教育2

Sun. May 14, 2017 11:40 AM - 12:40 PM A6会場 (幕張メッセ国際会議場 中会議室303)

座長:大森 圭貢(聖マリアンナ医科大学整形外科学講座)

日本理学療法教育学会

[O-ED-05-2] 理学療法士における診療ガイドラインの利用と関連するEvidence-based practiceへの意識・態度および環境要因の検討:質問紙調査を用いた横断研究

藤本 修平1, 今 法子2, 中山 健夫1 (1.京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻健康情報学分野, 2.河北リハビリテーション病院)

Keywords:EBM, 医療の質, Shared decision making

【はじめに,目的】診療ガイドライン(CPG)の利用は様々な分野における臨床プロセスおよびアウトカムを改善することが報告されている(Grimshow, et al., 1993)。一方,Evidence-based practice(EBP)教育によりCPGの利用を促進することが示唆されているが(藤本ら,2016),EBPに関するどのような要因がCPGの利用促進に関わっているか理学療法分野において明らかにされていない。そこで本研究では,理学療法士におけるCPGの利用と関連するEBPへの意識・態度および環境要因を検証することとした。

【方法】本調査は,平成26年10月に実施した。対象は,平成26年6月時点で千葉県理学療法士会に所属し,臨床施設に在籍しているPT2982名からランダムサンプリングした1000名とした。郵送調査法による質問紙調査を実施し,回答期限は2週間,リマインダーハガキの送付は1回とした。調査は,先行研究(Jette, et al., Phys Ther, 2003;Bernhardsson, et al., Phys Ther, 2014)を参考に作成し,基本属性(経験年数,最終学歴,研究経験など),CPGの利用状況を代表とするCPGへの意識や態度に関する項目,EBPに対する意識・態度・環境要因などに関する項目の計43項目で構成された質問紙を用いた。回答は,5件法(強く思う,思う,どちらでもない,思わない,強く思わない)または3件法(はい,部分的に,いいえ)の選択方法を採用した。解析は,CPGの利用に関連するEBPへの意識・態度要因を検証するために,多重ロジスティック回帰分析を用いた。解析には,統計ソフトJMP.Pro11(SAS Institute.Inc)を用い,有意水準は5%とした。

【結果】質問紙の回収率は39.6%であり,有効回答数は384件であった。CPGの利用に関連するEBPの要因として,EBPに対する重要性の認識(オッズ比(OR)=3.59,95%信頼区間(95%CI):1.14-13.41),文献検索のスキル(OR=5.24,95%CI:1.60-18.66),EBPに対する学習意欲(OR=10.32,95%CI:1.82-197.16),職場におけるEBPの推奨(OR=2.16,95%CI:1.04-4.57)が抽出された。

【結論】EBPの重要性を認識し,学習意欲が高い者はCPGを利用していた。また,EBPが職場で推奨されているかという環境要因もCPGの利用に強く関連していた。一方,本研究は横断研究であるため因果関係には言及できず,その解釈には慎重を要する。本研究の限界として,千葉県のPTが全国のPTを反映しているかは不明であることが挙げられる。そのため,今後はCPGの利用状況に対するEBP教育の効果を検証していく必要がある。