[O-YB-06-5] 造血幹細胞移植後再移植症例の移植前後における身体機能の回復
―初回移植と再移植の比較―
Keywords:造血幹細胞移植, 再移植, 身体機能
【はじめに,目的】
造血器悪性腫瘍に対する造血幹細胞移植後の再発に対する治療選択肢は広がりつつあるが,再移植を行う場合には,初回移植の影響や再寛解を目指す化学療法のため治療期間が長期化する。そのため,再移植症例においては初回移植症例と比較して,移植前での身体機能や移植後の身体機能の回復状況に変化が生じている可能性が考えられる。再移植症例に対しても適切な理学療法を展開していくためには,それらを把握することが重要であるが,再移植症例の身体機能の回復を調査した報告は少ない。本研究の目的は,再移植症例における移植前時点での身体機能ならびに,移植後にどのような機能回復の特徴があるのかを初回移植症例と比較し明らかにすることである。
【方法】
対象は2010年8月から2016年5月までに当院にて造血幹細胞移植を施行し,移植前と退院時のデータに欠損がない70名(初回移植56名:A群,再移植14名:B群)であった。対象者は移植前後に同様のリハビリテーション介入を行っている。調査項目は,患者属性(性別,年齢,BMI,Hb,TP,%FEV1),移植後経過(GVHDの有無,生着日数,移植後在院日数),身体機能(握力,膝関節伸展筋力,6分間歩行距離)とした。膝関節伸展筋力はIsoforce GT330(OG技研社製)により等尺性筋力を測定し,トルク体重比(Nm/Kg)にて算出した。各測定項目の両群間の比較には,カイ二乗検定,対応のないt検定を行い,各群の移植前後の各測定項目の比較には対応のあるt検定を用いた。
【結果】
患者属性と移植後経過については,両群間で有意差が認められなかった。移植前の膝関節伸展筋力(A群2.09±0.72 Nm/Kg,B群2.61±0.78 Nm/Kg)は,B群のほうが有意に高い値を示した。また,各群の移植前後の各測定項目の変化として,A群のBMI(移植前21.8±3.0 kg/m2,移植後19.8±2.7 kg/m2),握力(移植前28.6±9.3kg,移植後24.5±7.8kg),TP(移植前6.4±0.5g/dl,移植後5.9±0.5g/dl)と,B群のBMI(移植前20.2±2.8 kg/m2,移植後19.2±2.3 kg/m2),握力(移植前32.5±7.7kg,移植後26.9±6.2kg)が有意に低下した。また,A群の膝関節伸展筋力(移植前2.08±0.70Nm/kg,移植後2.01±0.72Nm/kg)と6分間歩行距離(移植前492.3±94.3m,移植後471.8±95.7m)とB群の膝関節伸展筋力(移植前2.61±0.78Nm/kg,移植後2.34±0.66Nm/kg)と6分間歩行距離(移植前473.2±69.0m,移植後449.1±86.8m)は,両群ともに移植前後で有意差を認めなかった。
【結論】
本研究の結果では,両群間に生着日数,在院日数に有意差はなく,各身体機能の経過についても同様の変化を示した。よって,再移植症例に対してもリハビリテーションを実施することで,初回移植症例と同様の結果が得られることが示唆された。再移植症例において移植前時点の膝関節伸展筋力は高い値を示しており,影響を与えている因子を引き続き調査していく必要があると考えられた。
造血器悪性腫瘍に対する造血幹細胞移植後の再発に対する治療選択肢は広がりつつあるが,再移植を行う場合には,初回移植の影響や再寛解を目指す化学療法のため治療期間が長期化する。そのため,再移植症例においては初回移植症例と比較して,移植前での身体機能や移植後の身体機能の回復状況に変化が生じている可能性が考えられる。再移植症例に対しても適切な理学療法を展開していくためには,それらを把握することが重要であるが,再移植症例の身体機能の回復を調査した報告は少ない。本研究の目的は,再移植症例における移植前時点での身体機能ならびに,移植後にどのような機能回復の特徴があるのかを初回移植症例と比較し明らかにすることである。
【方法】
対象は2010年8月から2016年5月までに当院にて造血幹細胞移植を施行し,移植前と退院時のデータに欠損がない70名(初回移植56名:A群,再移植14名:B群)であった。対象者は移植前後に同様のリハビリテーション介入を行っている。調査項目は,患者属性(性別,年齢,BMI,Hb,TP,%FEV1),移植後経過(GVHDの有無,生着日数,移植後在院日数),身体機能(握力,膝関節伸展筋力,6分間歩行距離)とした。膝関節伸展筋力はIsoforce GT330(OG技研社製)により等尺性筋力を測定し,トルク体重比(Nm/Kg)にて算出した。各測定項目の両群間の比較には,カイ二乗検定,対応のないt検定を行い,各群の移植前後の各測定項目の比較には対応のあるt検定を用いた。
【結果】
患者属性と移植後経過については,両群間で有意差が認められなかった。移植前の膝関節伸展筋力(A群2.09±0.72 Nm/Kg,B群2.61±0.78 Nm/Kg)は,B群のほうが有意に高い値を示した。また,各群の移植前後の各測定項目の変化として,A群のBMI(移植前21.8±3.0 kg/m2,移植後19.8±2.7 kg/m2),握力(移植前28.6±9.3kg,移植後24.5±7.8kg),TP(移植前6.4±0.5g/dl,移植後5.9±0.5g/dl)と,B群のBMI(移植前20.2±2.8 kg/m2,移植後19.2±2.3 kg/m2),握力(移植前32.5±7.7kg,移植後26.9±6.2kg)が有意に低下した。また,A群の膝関節伸展筋力(移植前2.08±0.70Nm/kg,移植後2.01±0.72Nm/kg)と6分間歩行距離(移植前492.3±94.3m,移植後471.8±95.7m)とB群の膝関節伸展筋力(移植前2.61±0.78Nm/kg,移植後2.34±0.66Nm/kg)と6分間歩行距離(移植前473.2±69.0m,移植後449.1±86.8m)は,両群ともに移植前後で有意差を認めなかった。
【結論】
本研究の結果では,両群間に生着日数,在院日数に有意差はなく,各身体機能の経過についても同様の変化を示した。よって,再移植症例に対してもリハビリテーションを実施することで,初回移植症例と同様の結果が得られることが示唆された。再移植症例において移植前時点の膝関節伸展筋力は高い値を示しており,影響を与えている因子を引き続き調査していく必要があると考えられた。