[P-ED-16-2] 訪問リハビリテーション利用者の背景,サービス利用の特徴を把握するための調査研究
Keywords:訪問リハビリテーション, 利用者, 管理
【はじめに,目的】
平成27年度介護報酬改定は,賃金・物価の状況,介護事業者の経営状況等を踏まえて全体で2.27%のマイナス改定であった。一方,訪問リハビリテーション(以下,リハ)年間受給者数,事業所数はともに急増している。その為,競争が進んでいく在宅サービス界において管理者は利用者がどのようなサービスを利用するかといった特徴を把握し,マーケティングの観点等を含む幅広い経営管理が求められる。しかし,訪問リハ事業を対象とした調査は少ない。本研究は介護保険制度の訪問リハ利用者に焦点をあて利用者の背景,自己負担割合,訪問リハ利用回数,併用サービスの種類を調査してその実態を把握し,今後の訪問リハ経営管理に寄与することを目的とした。
【方法】
対象は平成28年9月30日時点での当事業所訪問リハ利用者74名(男性32名,女性42名,年齢78±10歳)とした。調査項目は①主疾患,②同居者の有無,③主介護者,④住居,⑤要介護度,⑥自己負担割合,⑦訪問リハ利用回数,⑧併用サービス種類とし,訪問リハ申込書,指示書,介護保険証,介護保険負担割合証,居宅サービス計画書,リハ実施計画書,サービス提供票から抽出した。分析方法はSPSS Statistics 20を用い,調査項目ごとにx2検定を行い差を検定した。
【結果】
調査項目のうち①主疾患,②同居者の有無,③主介護者,④住居,⑥自己負担割合,⑦訪問リハ利用回数,⑧併用サービスの種類に有意差が認められた(p<0.05)。当事業所の訪問リハ利用者が有する主疾患は骨関節疾患(56.8%),脳疾患(25.7%)であった。同居(57%)が多く,主介護者は配偶者(44.6%)が多い傾向にあった。住居に関しては自宅(83.8%),サービス付き高齢者向け住宅(14.9%)が多かった。訪問リハ利用回数は1~2回/週の頻度であり,併用サービスの種類は福祉用具貸与(51.4%),訪問介護(32.4%),通所介護(24.3%)が有意に高かった。
【結論】
本研究により,訪問リハ利用者は主介護者が同年代の配偶者であっても,在宅生活を維持することが可能であると推測された。住居に関しては,介護保険制度のサービスであることから訪問リハが利用できる自宅とサ高住が多い状況にあったと考えられる。介護保険領域の利用者は維持期であることが多いといわれている。そのため,治療医学的観点のみでは訪問リハを完結することは困難であり,医学的リハの観点から福祉用具を導入する必要性が生じていたと推察される。その他の併用するサービスとして,主介護者が配偶者であることから身体介護,生活援助を中心とする訪問介護の利用を必要としていた可能性が考えられる。また,介護者のレスパイトの機能をもつ外出サービスである通所介護を利用する傾向にあることが考えられた。今回,訪問リハ利用者の特徴を調査したことで当該事業の実態が明らかにされたことは,経営管理の観点から重要な情報になるといえる。
平成27年度介護報酬改定は,賃金・物価の状況,介護事業者の経営状況等を踏まえて全体で2.27%のマイナス改定であった。一方,訪問リハビリテーション(以下,リハ)年間受給者数,事業所数はともに急増している。その為,競争が進んでいく在宅サービス界において管理者は利用者がどのようなサービスを利用するかといった特徴を把握し,マーケティングの観点等を含む幅広い経営管理が求められる。しかし,訪問リハ事業を対象とした調査は少ない。本研究は介護保険制度の訪問リハ利用者に焦点をあて利用者の背景,自己負担割合,訪問リハ利用回数,併用サービスの種類を調査してその実態を把握し,今後の訪問リハ経営管理に寄与することを目的とした。
【方法】
対象は平成28年9月30日時点での当事業所訪問リハ利用者74名(男性32名,女性42名,年齢78±10歳)とした。調査項目は①主疾患,②同居者の有無,③主介護者,④住居,⑤要介護度,⑥自己負担割合,⑦訪問リハ利用回数,⑧併用サービス種類とし,訪問リハ申込書,指示書,介護保険証,介護保険負担割合証,居宅サービス計画書,リハ実施計画書,サービス提供票から抽出した。分析方法はSPSS Statistics 20を用い,調査項目ごとにx2検定を行い差を検定した。
【結果】
調査項目のうち①主疾患,②同居者の有無,③主介護者,④住居,⑥自己負担割合,⑦訪問リハ利用回数,⑧併用サービスの種類に有意差が認められた(p<0.05)。当事業所の訪問リハ利用者が有する主疾患は骨関節疾患(56.8%),脳疾患(25.7%)であった。同居(57%)が多く,主介護者は配偶者(44.6%)が多い傾向にあった。住居に関しては自宅(83.8%),サービス付き高齢者向け住宅(14.9%)が多かった。訪問リハ利用回数は1~2回/週の頻度であり,併用サービスの種類は福祉用具貸与(51.4%),訪問介護(32.4%),通所介護(24.3%)が有意に高かった。
【結論】
本研究により,訪問リハ利用者は主介護者が同年代の配偶者であっても,在宅生活を維持することが可能であると推測された。住居に関しては,介護保険制度のサービスであることから訪問リハが利用できる自宅とサ高住が多い状況にあったと考えられる。介護保険領域の利用者は維持期であることが多いといわれている。そのため,治療医学的観点のみでは訪問リハを完結することは困難であり,医学的リハの観点から福祉用具を導入する必要性が生じていたと推察される。その他の併用するサービスとして,主介護者が配偶者であることから身体介護,生活援助を中心とする訪問介護の利用を必要としていた可能性が考えられる。また,介護者のレスパイトの機能をもつ外出サービスである通所介護を利用する傾向にあることが考えられた。今回,訪問リハ利用者の特徴を調査したことで当該事業の実態が明らかにされたことは,経営管理の観点から重要な情報になるといえる。