[P-KS-11-2] 超音波診断装置を用いたヒラメ筋筋束長の測定再現性の検討
Keywords:超音波診断装置, 筋束長, ヒラメ筋
【はじめに,目的】
超音波診断装置を用いて筋を縦断的に撮像すると,筋線維の束(筋束)の長さ(筋束長)を測定することができる。我々は内側腓腹筋(MG)の筋束長が足関節角度と収縮強度によって変化すること,筋短縮位・低強度での足底屈筋力トレーニングを実施するとトレーニング角度より筋が伸長された角度での最大筋力が向上すること,つまりトレーニングによる筋力向上効果は腓腹筋の筋束長に依存している可能性があることを報告した(J Strength Cond Res, 2016)。足関節底屈筋の筋束長の測定において,MGや外側腓腹筋(LG)の筋束長がその代表としてよく測定され,高い測定再現性も確認されている。一方,ヒラメ筋(SOL)は深層筋であり筋束を明瞭に撮像することが難しく,適切な測定部位も明らかになっていない。SOLは下腿三頭筋の中で最も筋体積が大きく,底屈筋力発揮に大きく貢献していることや,MGやLGとは異なり単関節筋であるという特徴を持つため,SOLの筋束長を測定することも重要であると考えられる。そこで本研究の目的は超音波診断装置を用いてSOLの筋束長を測定し,再現性高く撮像できる部位を検討することとした。
【方法】
対象は健常若年男性10名(23.8±2.7歳)とした。超音波診断装置を用いてSOLの筋束を内側腓腹筋直下(UMG),内側腓腹筋遠位(DMG),外側腓腹筋直下(ULG),外側腓腹筋遠位(DLG)の4つの部位で測定した。UMGとULGは膝窩から外果を結ぶ線の近位30%の高さでそれぞれMG,LGの筋腹の直下で測定した。また,DMGは大腿骨内側顆~内果の遠位1/3,DLGは大腿骨外側上顆~外果の遠位1/3で測定した。測定条件は足関節背屈20°位(D20)と底屈30°位(P30)で,それぞれ安静時(安静)および最大筋力発揮時(最大)の4条件とした。得られた超音波画像から先行研究に従って,筋束の延長線と表層の腱膜の延長線の交点から筋束起始部までの距離を筋束長として計測した。実験は1日以上の間隔を空けて同一検者が2回測定を行い,級内相関係数(ICC)を用いて検者内信頼性を求めた。
【結果】
最大筋力発揮条件での最大筋力値の変動係数(CV)はD20で8.2%,P30で11.5%であり,各試行において安定した筋力発揮がされていることが確認できた。最大P30における筋束長の測定はUMGでは10人中9人,DMGでは2人において超音波画像が不明瞭のため筋束長の計測が不可能であった。測定の再現性(ICC(1.1))について,UMGは安静D20:0.64,最大D20:0.67,安静P30:0.70,最大P30(n=1):検定不可,DMGは安静D20:0.41,最大D20:0.68,安静P30:0.39,最大P30(n=8):0.60,ULGは安静D20:0.76,最大D20:0.79,安静P30:0.85,最大P30:0.78,DLGは安静D20:0.08,最大D20:0.84,安静P30:0.52,最大P30:0.74となり,ULGがすべての条件で0.76~0.85と高い値を示した。
【結論】
SOLの筋束長は膝窩から外果を結ぶ線の近位30%の高さでLG筋腹の直下で測定すると,再現性の高い測定ができることが示唆された。
超音波診断装置を用いて筋を縦断的に撮像すると,筋線維の束(筋束)の長さ(筋束長)を測定することができる。我々は内側腓腹筋(MG)の筋束長が足関節角度と収縮強度によって変化すること,筋短縮位・低強度での足底屈筋力トレーニングを実施するとトレーニング角度より筋が伸長された角度での最大筋力が向上すること,つまりトレーニングによる筋力向上効果は腓腹筋の筋束長に依存している可能性があることを報告した(J Strength Cond Res, 2016)。足関節底屈筋の筋束長の測定において,MGや外側腓腹筋(LG)の筋束長がその代表としてよく測定され,高い測定再現性も確認されている。一方,ヒラメ筋(SOL)は深層筋であり筋束を明瞭に撮像することが難しく,適切な測定部位も明らかになっていない。SOLは下腿三頭筋の中で最も筋体積が大きく,底屈筋力発揮に大きく貢献していることや,MGやLGとは異なり単関節筋であるという特徴を持つため,SOLの筋束長を測定することも重要であると考えられる。そこで本研究の目的は超音波診断装置を用いてSOLの筋束長を測定し,再現性高く撮像できる部位を検討することとした。
【方法】
対象は健常若年男性10名(23.8±2.7歳)とした。超音波診断装置を用いてSOLの筋束を内側腓腹筋直下(UMG),内側腓腹筋遠位(DMG),外側腓腹筋直下(ULG),外側腓腹筋遠位(DLG)の4つの部位で測定した。UMGとULGは膝窩から外果を結ぶ線の近位30%の高さでそれぞれMG,LGの筋腹の直下で測定した。また,DMGは大腿骨内側顆~内果の遠位1/3,DLGは大腿骨外側上顆~外果の遠位1/3で測定した。測定条件は足関節背屈20°位(D20)と底屈30°位(P30)で,それぞれ安静時(安静)および最大筋力発揮時(最大)の4条件とした。得られた超音波画像から先行研究に従って,筋束の延長線と表層の腱膜の延長線の交点から筋束起始部までの距離を筋束長として計測した。実験は1日以上の間隔を空けて同一検者が2回測定を行い,級内相関係数(ICC)を用いて検者内信頼性を求めた。
【結果】
最大筋力発揮条件での最大筋力値の変動係数(CV)はD20で8.2%,P30で11.5%であり,各試行において安定した筋力発揮がされていることが確認できた。最大P30における筋束長の測定はUMGでは10人中9人,DMGでは2人において超音波画像が不明瞭のため筋束長の計測が不可能であった。測定の再現性(ICC(1.1))について,UMGは安静D20:0.64,最大D20:0.67,安静P30:0.70,最大P30(n=1):検定不可,DMGは安静D20:0.41,最大D20:0.68,安静P30:0.39,最大P30(n=8):0.60,ULGは安静D20:0.76,最大D20:0.79,安静P30:0.85,最大P30:0.78,DLGは安静D20:0.08,最大D20:0.84,安静P30:0.52,最大P30:0.74となり,ULGがすべての条件で0.76~0.85と高い値を示した。
【結論】
SOLの筋束長は膝窩から外果を結ぶ線の近位30%の高さでLG筋腹の直下で測定すると,再現性の高い測定ができることが示唆された。