[P-KS-42-3] 脊椎圧迫骨折患者における2分間歩行試験の信頼性および妥当性の検証
Keywords:脊椎圧迫骨折, 2分間歩行試験, 6分間歩行試験
【はじめに,目的】
脊椎圧迫骨折は骨粗鬆症に起因し発生頻度が高い骨折である。脊椎圧迫骨折を受傷することで移動及び日常生活動作能力が低下してしまう症例が散見される。そのため,移動能力の評価及び再獲得が重要である。
移動能力の評価方法の一つに,6分間歩行試験(以下,6MWT)と2分間歩行試験(以下,2MWT)がある。6MWTは様々な疾患に対して信頼性や妥当性が検証されている。一方で,評価時間が長く患者に負担のかかる評価方法となっている可能性がある。
2MWTは6MWTの実施時間を短縮した移動能力の評価方法である。Leungらは,慢性閉塞性肺疾患患者における2MWTは良好な検者内信頼性を示し,2MDは6MDと有意な相関を認めたことを報告している。しかし,脊椎圧迫骨折患者における2MWTの信頼性および妥当性は不明である。本研究の目的は,脊椎圧迫骨折患者における2MWTの信頼性と妥当性を検証することである。
【方法】
対象は,当院に入院中の脊椎圧迫骨折患者10名であり歩行補助具の使用を問わず自立歩行が可能な者とした。著しい認知機能障害や既往に神経筋疾患,脳血管障害を持つ者は除外した。
測定期間は三日間設けた。一日目と二日目は2MWTを実施,三日目に6MWTを実施した。6MWTはアメリカ胸部疾患学会の報告に準じて,経験年数4年目の理学療法士が実施した。2MWTも同一の検者が実施した。それぞれの歩行試験の前後には修正Borg scaleを用い,呼吸困難感と下肢疲労感を記録した。また,パルスオキシメーターで脈拍数,経皮的酸素飽和度を記録した。被験者には,直線20mを時間内でできる限り往復するように指示し,2分間歩行距離(以下,2MD)および6分間歩行距離(以下,6MD)を測定した。
統計学的解析は,2MWTの検者内信頼性として,2施行間の2MDで級内相関係数(以下ICC)ICC(1,1)を算出した。また,2MWTの妥当性を検証するため,二日目の2MDと6MDのPeasonの積率相関係数を求めた。有意水準は危険率5%未満とした。
【結果】
被験者特性は,年齢は84±7.3歳,男性2名,女性8名であった。受傷部位は,腰椎6名,胸椎3名,胸腰椎1名だった。受傷後から測定を開始するまでの期間は37.6±15.8病日,Barthel Indexは87.5±11.37点であった。移動手段は独歩とロレーターが3名ずつ,杖と歩行器が2名ずつであった。
6MWTと2MWTの結果は,6MDが243.9±124.7m,1回目の2MDが82.2±44.7m,2回目の2MDが83.4±41.0mであった。同一検者における2MD,2施行でのICC(1,1)は,0.98だった。また,2MDと6MDの間に有意な相関を認めた(r=0.95,P=0.0004)。
【結論】
本研究の限界として,2MWTの妥当性の検証は,6MWTに限られており,妥当性の検証は不十分である。また,絶対信頼性の検証はなされていない。従って,今後はさらなる妥当性と絶対信頼性の検証をする必要がある。
脊椎圧迫骨折は骨粗鬆症に起因し発生頻度が高い骨折である。脊椎圧迫骨折を受傷することで移動及び日常生活動作能力が低下してしまう症例が散見される。そのため,移動能力の評価及び再獲得が重要である。
移動能力の評価方法の一つに,6分間歩行試験(以下,6MWT)と2分間歩行試験(以下,2MWT)がある。6MWTは様々な疾患に対して信頼性や妥当性が検証されている。一方で,評価時間が長く患者に負担のかかる評価方法となっている可能性がある。
2MWTは6MWTの実施時間を短縮した移動能力の評価方法である。Leungらは,慢性閉塞性肺疾患患者における2MWTは良好な検者内信頼性を示し,2MDは6MDと有意な相関を認めたことを報告している。しかし,脊椎圧迫骨折患者における2MWTの信頼性および妥当性は不明である。本研究の目的は,脊椎圧迫骨折患者における2MWTの信頼性と妥当性を検証することである。
【方法】
対象は,当院に入院中の脊椎圧迫骨折患者10名であり歩行補助具の使用を問わず自立歩行が可能な者とした。著しい認知機能障害や既往に神経筋疾患,脳血管障害を持つ者は除外した。
測定期間は三日間設けた。一日目と二日目は2MWTを実施,三日目に6MWTを実施した。6MWTはアメリカ胸部疾患学会の報告に準じて,経験年数4年目の理学療法士が実施した。2MWTも同一の検者が実施した。それぞれの歩行試験の前後には修正Borg scaleを用い,呼吸困難感と下肢疲労感を記録した。また,パルスオキシメーターで脈拍数,経皮的酸素飽和度を記録した。被験者には,直線20mを時間内でできる限り往復するように指示し,2分間歩行距離(以下,2MD)および6分間歩行距離(以下,6MD)を測定した。
統計学的解析は,2MWTの検者内信頼性として,2施行間の2MDで級内相関係数(以下ICC)ICC(1,1)を算出した。また,2MWTの妥当性を検証するため,二日目の2MDと6MDのPeasonの積率相関係数を求めた。有意水準は危険率5%未満とした。
【結果】
被験者特性は,年齢は84±7.3歳,男性2名,女性8名であった。受傷部位は,腰椎6名,胸椎3名,胸腰椎1名だった。受傷後から測定を開始するまでの期間は37.6±15.8病日,Barthel Indexは87.5±11.37点であった。移動手段は独歩とロレーターが3名ずつ,杖と歩行器が2名ずつであった。
6MWTと2MWTの結果は,6MDが243.9±124.7m,1回目の2MDが82.2±44.7m,2回目の2MDが83.4±41.0mであった。同一検者における2MD,2施行でのICC(1,1)は,0.98だった。また,2MDと6MDの間に有意な相関を認めた(r=0.95,P=0.0004)。
【結論】
本研究の限界として,2MWTの妥当性の検証は,6MWTに限られており,妥当性の検証は不十分である。また,絶対信頼性の検証はなされていない。従って,今後はさらなる妥当性と絶対信頼性の検証をする必要がある。