第52回日本理学療法学術大会

講演情報

日本基礎理学療法学会(JSPTF・JFPT) » ポスター発表

[P-KS-42] ポスター(基礎)P42

2017年5月13日(土) 15:30 〜 16:30 ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本基礎理学療法学会(JSPTF・JFPT)

[P-KS-42-4] ノルディックウォーキングの歩行スタイルの違いによる運動負荷量の比較

吉村 洋輔1, 河本 拓也2, 小野 晃路3, 大坂 裕1, 伊藤 智崇1, 伊勢 眞樹1,4 (1.川崎医療福祉大学医療技術学部リハビリテーション学科, 2.川崎医療福祉大学医療技術学部リハビリテーション学科(学部生), 3.しげい病院リハビリテーション部, 4.倉敷中央病院リハビリテーション科)

キーワード:ノルディックウォーキング, 歩行, 酸素摂取量

【はじめに,目的】近年では理学療法の分野においてもノルディックウォーキング(以下,NW)が注目され活用されはじめている。しかし,NWには2種類の歩行スタイルがある事はあまり知られていない。主に杖の突き方の違いからdefensive style(以下,DS)とaggressive style(以下,AS)の2種類に区別されるが,その歩行スタイルによって運動負荷・効果は異なる事がNWの指導経験から予想される。DSとASの歩行をある一定以上行った際の呼気ガスデータを示した研究も見当たらない。今回,NWの代表的歩行スタイルであるDSとASの酸素摂取量や二酸化炭素排出量を比較した。

【方法】対象は健常人14名(年齢20.5±0.5歳,体重57.1±7.7kg)とした。課題動作は通常歩行とDSとASとし,被験者全員に通常歩行を,その後ランダムに選択した7名にDSを,残り7名にASの歩行を行ってもらった。通常歩行の後のNWの計測は十分な休憩を入れるために,最低でも1日あけて行った。通常歩行と各styleのNWで40mを歩行し,その内,中間の30mの歩行速度を計測した。その後,トレッドミル(ダブルベルトトレッドミル,ベルテックジャパン)を用いて10分間の歩行を行い(6km/h),その時の酸素摂取量と二酸化炭素排出量を呼気ガス分析装置(呼吸代謝測定装置,チェスト・エム社製)を用いて計測した。歩行開始時,5分後,10分後の計測値を取り,通常歩行と各NW styleの歩行速度,酸素量,二酸化炭素量をそれぞれ比較した。酸素量と二酸化炭素量については体重で除した値で比較をし,その比較には対応のあるt-検定を実施した。統計解析にはSPSS Statistics 22.0を使用し,有意水準は5%未満とした。

【結果】歩行速度の結果は通常歩行5.0km/h,DS4.7km/h,AS4.7km/hであった。通常歩行の酸素量(ml/min)は0分,5分,10分時点でそれぞれ594.7,700.6,695.1,DSでそれぞれ556.4,736.9,724.1,ASでそれぞれ589.4,826.1,761.4であった。通常歩行の二酸化炭素量(ml/min)は0分,5分,10分時点でそれぞれ452.4,600.1,609.9,DSでそれぞれ448.4,652.6,672.9,ASでそれぞれ480.6,755.1,694.7であった。酸素濃度を体重で除した値(mL/kg・min)は通常歩行でそれぞれ1028.2,1220.9,1203.3,DSでそれぞれ983.5,1322.0,1303.1,ASでそれぞれ995.0,1390.0,1276.4であった。二酸化炭素量を体重で除した値(mL/kg・min)は通常歩行でそれぞれ782.2,1049.5,1055.4,DSでそれぞれ796.6,1180.1,1217.2,ASでそれぞれ801.8,1283.1,1174.0であった。

【結論】NWの代表的な2 styleの歩行形式の運動負荷量を計測し,比較することができた。この歩行動作の負荷量の違いを活用して,歩行訓練等の様々な臨床場面で活用していきたい。