[P-KS-45-2] 骨盤傾斜の違いによる腹部引き込み運動時の側腹筋厚の変化
Keywords:側腹筋, 超音波診断装置, 腹横筋
【はじめに,目的】側腹筋のうち特に腹横筋を選択的に収縮させる腹部引き込み運動が考案され,姿勢の安定化や腰痛予防にも有用であると報告されている。超音波診断装置を用いた研究では,腹横筋厚は背臥位よりも座位や立位で増大すると報告されている。しかし,骨盤傾斜の違いによる側腹筋厚の変化については明らかではない。本研究の目的は,骨盤傾斜を変化させた時の腹部引き込み運動による側腹筋厚の変化について超音波診断装置を用いて非侵襲的に検討することである。先行研究にて骨盤傾斜の影響を検討する場合,立位で検討した研究が多いため,本研究においても立位で骨盤傾斜を変化させて行った。
【方法】対象は体幹に整形外科学疾患の既往のない12名の健常者(年齢26.3±4.6歳,身長173.5±3.7cm,体重63.8±5.4kg)とした。本研究では腹部引き込み運動時の側腹筋厚変化率を検討した。本研究における側腹筋厚変化率は,腹部引き込み運動時における各々の側腹筋厚を安静時側腹筋厚で除した値である。また,腹部引き込み運動の際には,先行研究を参考に立位にて骨盤傾斜を安楽に保った姿勢(以下,中間位),骨盤前傾を最大にした姿勢(以下,前傾位),骨盤後傾を最大にした姿勢(以下,後傾位)の3つの水準とした。本研究では,骨盤傾斜の違いによる3つの水準と側腹筋(腹横筋,内腹斜筋,外腹斜筋)の3つの水準について検討した。腹横筋厚はGEヘルスケア・ジャパン製の超音波診断装置(Venue 40 Musculoskeletal)を用いて測定した。測定の際,画像表示モードはBモード,8MHzのプローブで撮影を行い,腹横筋の測定部位は,先行研究を参考にして中腋窩線上における肋骨辺縁と腸骨稜の中央部とした。統計学的な検討は,骨盤傾斜の違いと側腹筋(腹横筋,内腹斜筋,外腹斜筋)の2つの要因については,2要因分散分析とBonferroni法によるpost-hoc解析を行った。なお,統計ソフトはIBM SPSS Statistics 22を用いて危険率は5%未満とした。
【結果】立位における中間位,前傾位,後傾位の腹横筋厚変化率は,1.75±0.45,1.43±0.44,1.32±0.18であった。同様に内腹斜筋は1.35±0.29,1.06±0.11,1.09±0.12,外腹斜筋は1.17±0.29,1.13±0.20,1.24±0.38であった。骨盤傾斜と側腹筋における2要因分散分析の結果,交互作用は有意ではなかったが,骨盤傾斜と側腹筋の主効果は有意であった。また,post-hoc解析の結果,腹横筋では前傾位よりも中間位の値が高値となる傾向がみられ,後傾位よりも中間位のほうが有意に高値となっていた。
【結論】腹部引き込み運動は腹横筋を選択的に収縮させる運動であり,骨盤傾斜を中間位に保った姿勢で行うことで腹横筋の効果的な筋収縮を促す可能性を本研究は示唆した。
【方法】対象は体幹に整形外科学疾患の既往のない12名の健常者(年齢26.3±4.6歳,身長173.5±3.7cm,体重63.8±5.4kg)とした。本研究では腹部引き込み運動時の側腹筋厚変化率を検討した。本研究における側腹筋厚変化率は,腹部引き込み運動時における各々の側腹筋厚を安静時側腹筋厚で除した値である。また,腹部引き込み運動の際には,先行研究を参考に立位にて骨盤傾斜を安楽に保った姿勢(以下,中間位),骨盤前傾を最大にした姿勢(以下,前傾位),骨盤後傾を最大にした姿勢(以下,後傾位)の3つの水準とした。本研究では,骨盤傾斜の違いによる3つの水準と側腹筋(腹横筋,内腹斜筋,外腹斜筋)の3つの水準について検討した。腹横筋厚はGEヘルスケア・ジャパン製の超音波診断装置(Venue 40 Musculoskeletal)を用いて測定した。測定の際,画像表示モードはBモード,8MHzのプローブで撮影を行い,腹横筋の測定部位は,先行研究を参考にして中腋窩線上における肋骨辺縁と腸骨稜の中央部とした。統計学的な検討は,骨盤傾斜の違いと側腹筋(腹横筋,内腹斜筋,外腹斜筋)の2つの要因については,2要因分散分析とBonferroni法によるpost-hoc解析を行った。なお,統計ソフトはIBM SPSS Statistics 22を用いて危険率は5%未満とした。
【結果】立位における中間位,前傾位,後傾位の腹横筋厚変化率は,1.75±0.45,1.43±0.44,1.32±0.18であった。同様に内腹斜筋は1.35±0.29,1.06±0.11,1.09±0.12,外腹斜筋は1.17±0.29,1.13±0.20,1.24±0.38であった。骨盤傾斜と側腹筋における2要因分散分析の結果,交互作用は有意ではなかったが,骨盤傾斜と側腹筋の主効果は有意であった。また,post-hoc解析の結果,腹横筋では前傾位よりも中間位の値が高値となる傾向がみられ,後傾位よりも中間位のほうが有意に高値となっていた。
【結論】腹部引き込み運動は腹横筋を選択的に収縮させる運動であり,骨盤傾斜を中間位に保った姿勢で行うことで腹横筋の効果的な筋収縮を促す可能性を本研究は示唆した。