[P-KS-47-3] 股関節肢位の違いによる股関節屈筋群の筋活動パターン
股関節屈曲,回旋角度変化に着目して
Keywords:筋電図, 筋動特性, 股関節周囲筋
【はじめに,目的】
一般的に腸腰筋の筋力低下が認められる場合には,大腿筋膜張筋が過活動となり,このマッスルインバランスは障害に繋がる(Sharmasnn 2002)。したがって,股関節屈筋群の筋活動のバランスを整えることは重要である。筋活動は関節角度変化による影響を受けるため(Lieber 1992),その影響を理解することで,対象とする筋のトレーニング肢位を決定できる。股関節屈曲角度の違いにより股関節屈筋群の筋活動が変化することは報告されている(Jiroumaru, et al., 2014)。しかし,股関節屈筋群のうち腸腰筋,縫工筋は外旋,大腿筋膜張筋は内旋の作用があることから股関節回旋肢位の違いによっても筋活動は変化すると考えられるが,股関節屈曲角度と回旋角度を同時に変化させ,その際の股関節屈筋群の筋活動を検討したものはない。そこで本研究では,股関節外旋位,中間位,内旋位において股関節屈曲角度を変化させた際の股関節屈筋群の筋活動について検討した。
【方法】
対象は健常成人男性15名(23.8±4.7歳)とし,筋電図計を用いて,股関節外旋位,中間位,内旋位の3つの条件において,股関節屈曲角度0°,30°,60°での等尺性股関節屈曲運動中(自重下)の股関節屈筋群の筋活動を測定した。測定筋は腸腰筋(IL),縫工筋(SA),大腿筋膜張筋(TFL)とした。被験者は両膝屈曲90°での背臥位となり,各課題をランダムに実施した。股関節角度はゴニオメーターを用いて計測した。表面電極(1×1cm)は皮膚処理後,電極間距離1cmとし,測定筋の筋線維方向に沿って貼付した。筋電図データは,筋電解析ソフトを用いて,フィルタ処理後(バンドパス10~500Hz),二乗平方平滑化処理(RMS)を行い,中間位条件の屈曲0°課題の各筋のRMSを1として正規化を行った。統計処理はSPSSを用いて,回旋条件ごとに各筋の筋電図は一元配置分散分析(股関節屈曲角度)を用いて比較した。事後検定としてTukey法を用いて,回旋条件ごとに0°,30°,60°時における各筋の筋電図の比較を行った。有意水準は5%とした。ただし,ILは屈曲30°までしか表面筋電図を計測できないため(Jiroumaru, et al., 2014),60°のデータは除外した。
【結果】
ILでは,外旋位での屈曲0°と比べ30°において筋活動の有意な増加が認められた(p<0.05)。SAでは,外旋位での屈曲0°と比べ30°,60°において筋活動の有意な増加が認められた(p<0.05)。TFLでは,内旋位での屈曲60°と比べ0°において筋活動の有意な増加が認められた(p<0.05)。ILは外旋位での屈曲30°,SAは外旋位での屈曲60°,TFLは内旋位での屈曲0°で最も活動が増大した。
【結論】
IL,SAは股関節外旋位で屈曲角度を増加させた位置で屈曲運動することでより活動を増大し,TFLは内旋位で屈曲角度を減少させた位置で屈曲運動することでより活動を増大した。
一般的に腸腰筋の筋力低下が認められる場合には,大腿筋膜張筋が過活動となり,このマッスルインバランスは障害に繋がる(Sharmasnn 2002)。したがって,股関節屈筋群の筋活動のバランスを整えることは重要である。筋活動は関節角度変化による影響を受けるため(Lieber 1992),その影響を理解することで,対象とする筋のトレーニング肢位を決定できる。股関節屈曲角度の違いにより股関節屈筋群の筋活動が変化することは報告されている(Jiroumaru, et al., 2014)。しかし,股関節屈筋群のうち腸腰筋,縫工筋は外旋,大腿筋膜張筋は内旋の作用があることから股関節回旋肢位の違いによっても筋活動は変化すると考えられるが,股関節屈曲角度と回旋角度を同時に変化させ,その際の股関節屈筋群の筋活動を検討したものはない。そこで本研究では,股関節外旋位,中間位,内旋位において股関節屈曲角度を変化させた際の股関節屈筋群の筋活動について検討した。
【方法】
対象は健常成人男性15名(23.8±4.7歳)とし,筋電図計を用いて,股関節外旋位,中間位,内旋位の3つの条件において,股関節屈曲角度0°,30°,60°での等尺性股関節屈曲運動中(自重下)の股関節屈筋群の筋活動を測定した。測定筋は腸腰筋(IL),縫工筋(SA),大腿筋膜張筋(TFL)とした。被験者は両膝屈曲90°での背臥位となり,各課題をランダムに実施した。股関節角度はゴニオメーターを用いて計測した。表面電極(1×1cm)は皮膚処理後,電極間距離1cmとし,測定筋の筋線維方向に沿って貼付した。筋電図データは,筋電解析ソフトを用いて,フィルタ処理後(バンドパス10~500Hz),二乗平方平滑化処理(RMS)を行い,中間位条件の屈曲0°課題の各筋のRMSを1として正規化を行った。統計処理はSPSSを用いて,回旋条件ごとに各筋の筋電図は一元配置分散分析(股関節屈曲角度)を用いて比較した。事後検定としてTukey法を用いて,回旋条件ごとに0°,30°,60°時における各筋の筋電図の比較を行った。有意水準は5%とした。ただし,ILは屈曲30°までしか表面筋電図を計測できないため(Jiroumaru, et al., 2014),60°のデータは除外した。
【結果】
ILでは,外旋位での屈曲0°と比べ30°において筋活動の有意な増加が認められた(p<0.05)。SAでは,外旋位での屈曲0°と比べ30°,60°において筋活動の有意な増加が認められた(p<0.05)。TFLでは,内旋位での屈曲60°と比べ0°において筋活動の有意な増加が認められた(p<0.05)。ILは外旋位での屈曲30°,SAは外旋位での屈曲60°,TFLは内旋位での屈曲0°で最も活動が増大した。
【結論】
IL,SAは股関節外旋位で屈曲角度を増加させた位置で屈曲運動することでより活動を増大し,TFLは内旋位で屈曲角度を減少させた位置で屈曲運動することでより活動を増大した。