[P-MT-08-3] 生物学的製剤加療中の関節リウマチ患者における心理情動的問題に関する研究
catastrophizing,特に無力感が及ぼす影響に関する検討
Keywords:関節リウマチ, 習慣性無力感, 心理情動的問題
【はじめに】我々はこれまで関節リウマチ(以下RA)患者のcatastrophizingの無力感が疾患コントロール状態の如何を問わず高いこと,それが疾患活動性や疼痛症状,機能障害以外の病因に影響されていることを報告してきた。RA患者の悲観,抑うつ,受動的態度には無力感が影響するとされ,RA患者の行動様式に影響を及ぼすとの報告もある。今回,生物学的製剤(以下Bio)により疾患活動性鎮静化後も無力感の高い傾向をしめすRA患者を対象に,精神心理的問題に影響を及ぼす因子とその関係性について検討したので若干の知見を交えて報告する。
【方法】対象は当院入院中に研究への参加に同意の得られた女性RA患者24名。平均年齢68.21±1.60歳。平均罹病期間13.63±2.44年とし,加療後に無力感に改善が認められる改善群と,改善が認められない非改善群に分けた。治療は全例がBio投与による内科的治療とともに理学療法介入を受けていた。評価項目はSteinbrocker stage/class,疾患活動性をsimplified disease activity index(SDAI),疼痛強度をvisual analogue scale(VAS),機能障害をpain disability assessement scale(PDAS)とhealth assessment questionnaire(HAQ),精神心理状態をpain catastrophizing scale(PCS:反芻,無力感,拡大視)とhospital anxiety and depression scale(HADS:抑うつ,不安)とし,入退院時で各項目を比較検討するとともに各項目間の関係について調べた。統計学的解析は,入退院時の比較にWilcoxonの符号付順位和検定を,2群間の比較にMann-WhitneyのU検定を,各項目間の相関関係分析にSpearmanの順位相関係数を用い,有意水準を5%未満とした。
【結果】入院時に比べ退院時に,SDAIは両群で改善,VASは両群で軽減していた。PDAS,HAQは退院時に両群で改善していたが,PDASは有意差をしめさない一方で,HAQは改善群が有意に低値をしめした。精神心理項目については全群で有意に改善していたが,退院時にPCS,HADSが下位項目も含め非改善群が有意に高値をしめした。各項目の相関関係についてはSDAI,VAS,PDAS,HAQが精神心理項目と低~中等度の相関をしめしたが,無力感との相関は低かった。また,無力感は,HAQの下位項目,起立,歩行と高い相関をしめした。
【結論】RA患者の無力感は疾患活動性や主症状である疼痛症状よりも生活の起点となる起立,歩行の障害と関係性が高かった。
【方法】対象は当院入院中に研究への参加に同意の得られた女性RA患者24名。平均年齢68.21±1.60歳。平均罹病期間13.63±2.44年とし,加療後に無力感に改善が認められる改善群と,改善が認められない非改善群に分けた。治療は全例がBio投与による内科的治療とともに理学療法介入を受けていた。評価項目はSteinbrocker stage/class,疾患活動性をsimplified disease activity index(SDAI),疼痛強度をvisual analogue scale(VAS),機能障害をpain disability assessement scale(PDAS)とhealth assessment questionnaire(HAQ),精神心理状態をpain catastrophizing scale(PCS:反芻,無力感,拡大視)とhospital anxiety and depression scale(HADS:抑うつ,不安)とし,入退院時で各項目を比較検討するとともに各項目間の関係について調べた。統計学的解析は,入退院時の比較にWilcoxonの符号付順位和検定を,2群間の比較にMann-WhitneyのU検定を,各項目間の相関関係分析にSpearmanの順位相関係数を用い,有意水準を5%未満とした。
【結果】入院時に比べ退院時に,SDAIは両群で改善,VASは両群で軽減していた。PDAS,HAQは退院時に両群で改善していたが,PDASは有意差をしめさない一方で,HAQは改善群が有意に低値をしめした。精神心理項目については全群で有意に改善していたが,退院時にPCS,HADSが下位項目も含め非改善群が有意に高値をしめした。各項目の相関関係についてはSDAI,VAS,PDAS,HAQが精神心理項目と低~中等度の相関をしめしたが,無力感との相関は低かった。また,無力感は,HAQの下位項目,起立,歩行と高い相関をしめした。
【結論】RA患者の無力感は疾患活動性や主症状である疼痛症状よりも生活の起点となる起立,歩行の障害と関係性が高かった。