[P-NV-20-3] ALS患者に対する蘇生バックを用いた呼吸理学療法:MICトレーニングの効果の検証
Keywords:ALS, 呼吸理学療法, MICトレーニング
【はじめに,目的】ALS患者の多くは,病気の進行により拘束性喚起障害を呈する。その呼吸障害に対して,一般的な呼吸理学療法である呼吸法訓練,徒手的呼吸介助,呼吸筋ストレッチ等を行っても有効な効果をあげることは難しい。これに対して,神経筋疾患・脊髄損傷の呼吸リハビリテーションガイドラインにおいて,蘇生バックを用いた強制吸気:MICトレーニングが紹介されている。しかし,これまでの本邦での研究では,神経筋疾患患者を対象にしたMIC測定によるMICの即時効果についての解析は行われているが,ALS患者に特定して一定期間介入を行った効果の検証はされていない。本研究は,ALS患者に対して一定期間MICトレーニングを行うことで,呼吸機能にどのような効果をもたらすのかを検証することが目的である。
【方法】対象は,当院にてMICトレーニングを実施したALS患者18名で,患者選択基準は寄本らの既報告に基づいて,球麻痺が無いかもしくは軽い症例でALSFRS-R:発話・嚥下・唾液がそれぞれ3点以上とした。MICトレーニングは,蘇生バックを用いて患者の主観的最大吸気位まで加圧し,5秒息止め後呼出することとした。これを1セッション5回,5日間実施した。評価項目は,初回評価時と5日間MICトレーニングを実施した後のPCF,VC,MICの値とし,これらの2群間比較には対応のあるt検定にて統計処理を行った。
【結果】初回評価時と5日間MICトレーニングを実施した後のPCF,VC,MICの値において,MICは優位に増加した(p<0.05)。VC,PCFは優位な変化は見られなかった。また,MICが増加した群と増加しなかった群では,年齢,発症歴,ALSFRS-R,%VCにおいて差は見られなかった。
【結論】本研究から,ALS患者に対して継続的にMICトレーニングを行うことで,MICが増加し,肺のコンプライアンス維持向上のための有効な手段であることが示唆された。今後は,より長い期間の効果の検証をしていくことが必要である。
【方法】対象は,当院にてMICトレーニングを実施したALS患者18名で,患者選択基準は寄本らの既報告に基づいて,球麻痺が無いかもしくは軽い症例でALSFRS-R:発話・嚥下・唾液がそれぞれ3点以上とした。MICトレーニングは,蘇生バックを用いて患者の主観的最大吸気位まで加圧し,5秒息止め後呼出することとした。これを1セッション5回,5日間実施した。評価項目は,初回評価時と5日間MICトレーニングを実施した後のPCF,VC,MICの値とし,これらの2群間比較には対応のあるt検定にて統計処理を行った。
【結果】初回評価時と5日間MICトレーニングを実施した後のPCF,VC,MICの値において,MICは優位に増加した(p<0.05)。VC,PCFは優位な変化は見られなかった。また,MICが増加した群と増加しなかった群では,年齢,発症歴,ALSFRS-R,%VCにおいて差は見られなかった。
【結論】本研究から,ALS患者に対して継続的にMICトレーニングを行うことで,MICが増加し,肺のコンプライアンス維持向上のための有効な手段であることが示唆された。今後は,より長い期間の効果の検証をしていくことが必要である。