[P-NV-24-2] 回復期リハビリテーション病棟に入院中の脳卒中者における施設内生活空間での身体活動評価と移動能力との関連
Keywords:脳卒中, 生活空間, 移動能力
【はじめに,目的】医療機関に入院した脳卒中者における生活機能障害を加速的に改善するためには,医療機関における施設内生活空間での身体活動の確保・増加を図ることが重要視されている。本研究では,医療機関における施設内生活空間での身体活動の評価指標として開発したfacility-based life-space assessment(Fb-LSA)と移動能力との関連を検証し,施設内における各生活空間に求められる移動能力の特性を明らかにすることを目的とした。
【方法】脳卒中を有して回復期リハビリテーション病棟に入院し,6分間歩行距離(6MD)の測定が可能であった46人(平均年齢65.4歳)を対象に,Fb-LSA,Berg balance scale(BBS),timed up and go test(TUG),最大歩行速度(MGS),6MDを調査した。Fb-LSAにおける施設内生活空間は,基点を居室のベッドとして規定し,施設内生活空間をレベル1:ベッド上,レベル2:居室内,レベル3:居室近隣,レベル4:病棟内全域,レベル5:病棟外~施設全域の5段階に設定した。実際の調査では,過去1週間における各生活空間レベルにおける移動の有無,頻度(1:1回未満/日,2:1~3回/日,3:4~6回/日,4:日中ほとんど)),自立度(1:動作介助が必要,1.5:補助具の使用または介助者の見守りが必要,2:補助具の使用および人的介助が不要)を調べ,各生活空間レベルにおける移動の有無,頻度,自立度の得点を積算し,各生活空間レベルの積算値の合計をFb-LSAの代表値とした(得点範囲0-120点)。
【結果】Fb-LSAの合計点は平均72.2点であり,各生活空間レベルの積算値の平均はレベル1:6.3点,レベル2:11.9点,レベル3:16.2点,レベル4:20.5点,レベル5:17.3点であった。Fb-LSAと他の指標とのPearson相関係数を算出した結果,Fb-LSAはBBS(r=0.68),TUG(r=-0.59),MGS(r=0.69),6MD(r=0.72)との間に中等度以上の有意な相関を認めた。Fb-LSAを従属変数,他の指標を独立変数とした重回帰分析(ステップワイズ法)を,年齢と脳卒中発症からの期間で調整して実施した結果,6MDが有意な関連項目として抽出された。また,Fb-LSAの各生活空間レベルの積算値を従属変数として同様のモデルにて重回帰分析を実施した結果,レベル1積算値,レベル2積算値,およびレベル3積算値ではBBS,レベル4積算値では6MD,レベル5積算値ではMGSが,各生活空間レベルの積算値の有意な関連項目として抽出された。
【結論】Fb-LSAと移動能力に関連する姿勢バランスおよび歩行の各指標が有意に相関したことから,施設内生活空間での身体活動に移動能力の高さが反映されると考えられた。また,Fb-LSAにおける施設内生活空間レベルの中でも,居室内~居室近隣における身体活動の確保と増加には安全で安定的な移動と活動に必要となる座位および立位における姿勢バランスが優先的に求められ,病棟内外のより広範囲に亘る身体活動の拡大のためには長距離歩行やより高速度の歩行が可能となる移動能力がより重要になると推察された。
【方法】脳卒中を有して回復期リハビリテーション病棟に入院し,6分間歩行距離(6MD)の測定が可能であった46人(平均年齢65.4歳)を対象に,Fb-LSA,Berg balance scale(BBS),timed up and go test(TUG),最大歩行速度(MGS),6MDを調査した。Fb-LSAにおける施設内生活空間は,基点を居室のベッドとして規定し,施設内生活空間をレベル1:ベッド上,レベル2:居室内,レベル3:居室近隣,レベル4:病棟内全域,レベル5:病棟外~施設全域の5段階に設定した。実際の調査では,過去1週間における各生活空間レベルにおける移動の有無,頻度(1:1回未満/日,2:1~3回/日,3:4~6回/日,4:日中ほとんど)),自立度(1:動作介助が必要,1.5:補助具の使用または介助者の見守りが必要,2:補助具の使用および人的介助が不要)を調べ,各生活空間レベルにおける移動の有無,頻度,自立度の得点を積算し,各生活空間レベルの積算値の合計をFb-LSAの代表値とした(得点範囲0-120点)。
【結果】Fb-LSAの合計点は平均72.2点であり,各生活空間レベルの積算値の平均はレベル1:6.3点,レベル2:11.9点,レベル3:16.2点,レベル4:20.5点,レベル5:17.3点であった。Fb-LSAと他の指標とのPearson相関係数を算出した結果,Fb-LSAはBBS(r=0.68),TUG(r=-0.59),MGS(r=0.69),6MD(r=0.72)との間に中等度以上の有意な相関を認めた。Fb-LSAを従属変数,他の指標を独立変数とした重回帰分析(ステップワイズ法)を,年齢と脳卒中発症からの期間で調整して実施した結果,6MDが有意な関連項目として抽出された。また,Fb-LSAの各生活空間レベルの積算値を従属変数として同様のモデルにて重回帰分析を実施した結果,レベル1積算値,レベル2積算値,およびレベル3積算値ではBBS,レベル4積算値では6MD,レベル5積算値ではMGSが,各生活空間レベルの積算値の有意な関連項目として抽出された。
【結論】Fb-LSAと移動能力に関連する姿勢バランスおよび歩行の各指標が有意に相関したことから,施設内生活空間での身体活動に移動能力の高さが反映されると考えられた。また,Fb-LSAにおける施設内生活空間レベルの中でも,居室内~居室近隣における身体活動の確保と増加には安全で安定的な移動と活動に必要となる座位および立位における姿勢バランスが優先的に求められ,病棟内外のより広範囲に亘る身体活動の拡大のためには長距離歩行やより高速度の歩行が可能となる移動能力がより重要になると推察された。