The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本支援工学理学療法学会 » ポスター発表

[P-SK-06] ポスター(支援工学)P06

Sun. May 14, 2017 1:00 PM - 2:00 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本支援工学理学療法学会

[P-SK-06-2] 生活期における下肢装具への介入状況調査
第一報

笠井 健治1, 中野 克己1, 西尾 尚倫1, 小川 秀幸1, 高山 智絵1, 常名 勇気1, 桑原 健吾1, 丸山 薫1, 宮澤 友里1, 清宮 清美2 (1.埼玉県総合リハビリテーションセンター理学療法科, 2.埼玉県総合リハビリテーションセンター地域支援担当)

Keywords:下肢装具, 介護保険, 質問紙法

【はじめに,目的】装具療法は効果が認められた治療法であるが,その効果を持続するためには専門家による適切な介入が継続される必要がある。近年,生活期の装具使用者を対象とした調査から装具作製後のフォローアップ体制の必要性が報告されている。本研究の目的は,生活期における理学療法士の下肢装具への介入状況を明らかにすることである。

【方法】対象は,当県においてH28年4月時点でリハビリテーションサービス(介護老人保健施設,通所リハビリテーション,訪問リハビリテーション)を提供している介護保険施設199カ所に勤務する理学療法士とした。調査は郵送による無記名自記式質問紙を用い,1施設当たりの質問紙の配布部数は3部とし,提供サービス数が複数の場合はサービスごとに1部を追加した。質問紙の最終配布部数は799部であった。調査項目は所属事業所についての項目(提供サービス種別,利用者数,在籍理学療法士数,義肢装具士との連携体制,保有する装具,装具調整用の器具),理学療法士の経験(年数,研修会への参加,装具使用者のリハビリテーション,装具作製・調整),装具への介入状況(月間の装具使用者数,装具に関するトラブルの頻度とその要因,関連制度の知識,装具を見直す頻度と対応方法,介入の阻害要因)とした。

【結果】104施設から合計286の回答があり,回収率は施設単位で52%,配布数で36%であった。事業所として義肢装具士との連携体制が「全くない,めったにない」63%,保有する装具が「ない」36%であり,一般工具以外にの装具調整用の器具を保有していると回答したのは6%であった。回答者の平均経験年数は9.3年で,装具に関する研修会への参加経験は「ない」が54%であった。装具使用者のリハビリテーション,装具の作製,装具の調整について,経験が「たくさんあった,多少あった」と回答した割合はそれぞれ92%,58%,55%であった。1か月間の下肢装具使用者数は平均8.4人で,装具の不適合や問題は「よくある,時々ある」が65%であった。装具に関する制度の知識は「ない,ほとんどない」が50%であった。装具を見直す頻度は「全くない,ほとんどない」が53%で,その要因は上位から「装具の知識,義肢装具士との連携体制,装具を調整する技術」であった。装具を見直す場合の対応方法として「自分で装具の調整をしない」が44%で,そのうち具体的な対応方法は「義肢装具士へ依頼する」が59%で最も多かった。

【結論】生活期において装具使用者は装具の不適合などの問題が生じる危険があるが,理学療法士が下肢装具の見直しを行う頻度は少ないことが示された。その要因としては技術や知識といった理学療法士の問題と義肢装具士との連携体制や備品の不足などの制度・環境の問題が示唆された。