[P-SN-03-3] 極低出生体重に対するストレス処置頻度と三次元加速度センサーを用いた感覚感受性測定の検討―feasibility study―
Keywords:NICU, ストレス刺激, 感受性
【はじめに,目的】
neonatal intensive care unit(以下NICU)入院中の児が経験するストレス刺激は,その後の成長発達に影響を及ぼすと多数報告されている。しかしながら,ストレス刺激の種類や頻度と児の感覚感受性を検討した報告はない。そこで,本研究では,NICUで経験するストレス刺激の種類と頻度を明らかにし,更にそれらのストレス刺激の種類や頻度の違いにより,物理的刺激に対する児の感受性に違いがあると仮説を立て,その感受性を三次元加速度計で測定する事が可能か検討した。
【方法】
当院NICUに入院中の極低出生体重児4名。出生時体重(g)1094~1488。在胎期間28週6日~32週0日の児を対象とした。退院前の検査時修正週数36週4日~38週3日。検査時体重(g)2416~3216であった。
背景因子(在胎期間・出生時体重・アプガールスコア1分値・5分値・検査時の修正週数・検査時体重)を診療録より収集した。ストレス刺激は,入院初日から退院日まで全ての刺激を対象とし,チェック表を作成し処置毎に記入した。ストレス項目は,血糖測定・採血・点滴ルート確保・気管挿管・経管栄養チューブ挿入・皮下注射・眼底検査・エコー検査,ストレス刺激の合計とし,回数を記録した。感覚刺激は,児が睡眠状態(state1~2)である事を確認し,ブラゼルトン新生児行動評価の慣れパッケージに含まれるガラガラを用いた聴覚刺激とした。刺激方法は,耳元から30cmの距離で,1秒の聴覚刺激を3回実施した。感受性の測定には,A.M.I社製Actigraph(MICRO-MINI)を用い,児の下腿遠位に装着し,刺激前後の加速度を計測した。Actigraphで計測した加速度と,背景因子・ストレス項目との関連性をPearsonの積立相関整数を用いて検討した。統計解析はIBM SPSS Statistics 22を用いて有意水準を5%未満とした。
【結果】
ストレス刺激の合計回数と加速度との間には,有意な相関関係は認められなかった。静脈血採血回数・点滴ルート確保回数・眼底検査回数と刺激後の加速度の間に,有意な正の相関関係が認められた(r=0.75,0.77,0.57)。アプガールスコア1分値と刺激後の加速度の間に,有意な負の相関関係が認められた(r=-0.74)。
【結論】
ブラゼルトン新生児行動評価のガラガラを用いた聴覚刺激に対する感受性は,下腿遠位に装着した三次元加速度計を用いる事で測定可能であった。ストレス刺激の合計回数ではなく,刺激の種類,特に刺激が大きいと思われる静脈に対する介入や眼底検査の回数が,退院前の感覚に対する感受性を高める事が示唆された。
neonatal intensive care unit(以下NICU)入院中の児が経験するストレス刺激は,その後の成長発達に影響を及ぼすと多数報告されている。しかしながら,ストレス刺激の種類や頻度と児の感覚感受性を検討した報告はない。そこで,本研究では,NICUで経験するストレス刺激の種類と頻度を明らかにし,更にそれらのストレス刺激の種類や頻度の違いにより,物理的刺激に対する児の感受性に違いがあると仮説を立て,その感受性を三次元加速度計で測定する事が可能か検討した。
【方法】
当院NICUに入院中の極低出生体重児4名。出生時体重(g)1094~1488。在胎期間28週6日~32週0日の児を対象とした。退院前の検査時修正週数36週4日~38週3日。検査時体重(g)2416~3216であった。
背景因子(在胎期間・出生時体重・アプガールスコア1分値・5分値・検査時の修正週数・検査時体重)を診療録より収集した。ストレス刺激は,入院初日から退院日まで全ての刺激を対象とし,チェック表を作成し処置毎に記入した。ストレス項目は,血糖測定・採血・点滴ルート確保・気管挿管・経管栄養チューブ挿入・皮下注射・眼底検査・エコー検査,ストレス刺激の合計とし,回数を記録した。感覚刺激は,児が睡眠状態(state1~2)である事を確認し,ブラゼルトン新生児行動評価の慣れパッケージに含まれるガラガラを用いた聴覚刺激とした。刺激方法は,耳元から30cmの距離で,1秒の聴覚刺激を3回実施した。感受性の測定には,A.M.I社製Actigraph(MICRO-MINI)を用い,児の下腿遠位に装着し,刺激前後の加速度を計測した。Actigraphで計測した加速度と,背景因子・ストレス項目との関連性をPearsonの積立相関整数を用いて検討した。統計解析はIBM SPSS Statistics 22を用いて有意水準を5%未満とした。
【結果】
ストレス刺激の合計回数と加速度との間には,有意な相関関係は認められなかった。静脈血採血回数・点滴ルート確保回数・眼底検査回数と刺激後の加速度の間に,有意な正の相関関係が認められた(r=0.75,0.77,0.57)。アプガールスコア1分値と刺激後の加速度の間に,有意な負の相関関係が認められた(r=-0.74)。
【結論】
ブラゼルトン新生児行動評価のガラガラを用いた聴覚刺激に対する感受性は,下腿遠位に装着した三次元加速度計を用いる事で測定可能であった。ストレス刺激の合計回数ではなく,刺激の種類,特に刺激が大きいと思われる静脈に対する介入や眼底検査の回数が,退院前の感覚に対する感受性を高める事が示唆された。