The 52st Congress of Japanese Society of Physical Therapy

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日本地域理学療法学会 » ポスター発表

[P-TK-05] ポスター(地域)P05

Fri. May 12, 2017 12:50 PM - 1:50 PM ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本地域理学療法学会

[P-TK-05-3] 認知症に対する機能訓練システムの開発
Four-Dimensional Assessment System(4DAS)の指導介入とその効果検証

大谷 啓尊1, 中西 誠司2, 岡野 裕3, 吉水 由香里2, 山口 美保4, 斧渕 利雄4, 眞杉 佳憲4, 柿木 達也4 (1.神戸国際大学, 2.有馬高原病院, 3.明石福祉介護サービス, 4.兵庫県)

Keywords:認知症, 機能訓練, 通所介護

【はじめに】通所介護事業所では常勤のリハビリテーション専門職(リハ専門職)が配置されていない場合があり,認知症高齢者の個々の問題点や課題を抽出し機能訓練を実施することに難渋している事業所は多い。そこで,我々はこの問題を解消するためにFour-Dimensional Assessment System(4DAS)を開発した。4DASは,椅子からの立ち上がり可否と地域包括ケアシステムにおける認知症アセスメントシート(DASC)の認知機能障害と生活機能障害のプロファイル得点に基づき対象者の特性に応じたタイプに分類した上で,タイプに応じた機能訓練プログラムを提供することを可能にしたシステムである。本研究では,兵庫県西播磨圏域を中心に4DAS指導研修を実施しその介入効果を検証した。


【方法】対象は兵庫県西播磨圏域の通所介護を行う11事業所を利用している41名とした。4DAS指導研修を導入前期に実施し,初回,4DAS導入前(初回から3ヶ月後),導入後(6ヶ月後)に専門の評価者が各事業所を訪問して評価を行なった。認知・生活機能及びBPSDの評価としてDASC-21,DBD13,認知機能及び認知症重症度の評価としてMMSE,CDR,身体機能の評価としてFunctional reach test,Timed Up & Go Test,30秒椅子立ち上がりテスト,介護負担の評価としてJ-ZBI_8を行なった。最終評価では,4DAS導入が良好であったか否かを各事業所から聴取し,その情報をもとに導入良好群と導入不良群に分類した。統計学的分析では,調査開始時における対象者の基本特性として年齢,性別,要介護度人数,デイサービス利用頻度,リハ専門職の配置人数,独居について,カイ二乗検定,対応のないt検定を用いて2群間で比較した。各評価項目は,時間的要因と群内要因を2要因とした反復測定分散分析を用いて主効果と交互作用を確認した。事後検定としてHolm法による多重比較を用い,調査時期毎の群間比較には対応のないt検定あるいはMann-WhitneyのU検定により比較した。統計学的有意水準は5%とした。

【結果】リハ専門職が配置されている事業所は両群ともに2事業所ずつであった。通所介護サービスの平均利用頻度において,導入良好群は3.8回,導入不良群は2.7回で導入良好群が有意に多かった(p<0.05)。各評価項目において交互作用は認められなかったが,導入良好群のみの検討では調査開始時と比較し4DAS導入後のJ-ZBI_8は有意な改善を認めた(p<0.05)。導入後のDBD13は導入不良群と比較し有意に低かった(p<0.05)。一方,導入不良群では調査開始時と比較し4DAS導入後のDBD13,Functional reach testは低下した(p<0.05)。

【結論】本研究の結果より,リハビリテーション専門職の配置が限られた通所介護事業所において,4DASを適切に導入できた場合,4DASはBPSDおよび介護負担の軽減に寄与することが示唆された。また,導入良好群は導入不良群よりも介入頻度が多かったことが,これらの効果に寄与したものと考えられた。