第52回日本理学療法学術大会

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日本予防理学療法学会 » ポスター発表

[P-YB-05] ポスター(予防)P05

2017年5月12日(金) 15:30 〜 16:30 ポスター会場 (国際展示場 展示ホール8)

日本予防理学療法学会

[P-YB-05-4] 一次予防高齢者に対する集団体操(転ばんごとがんばらんば体操)の長期的な効果

柴原 健吾, 酒井 祥平, 作田 奏美, 本多 一平 (医療法人伴帥会愛野記念病院)

キーワード:一次予防高齢者, 集団体操, 体力測定

【はじめに,目的】

現在,高齢者に対する介護予防教室での短期的な運動効果は数多く報告されているが,長期間の経過を追った報告はあまり散見されない。実際,身体機能においても12週間の介入で高い効果量を得るとされている。しかし,その後運動を継続出来ないことで,身体機能が介入時の状態に戻ることを経験する。そこで今回,一次予防高齢者(地域在住高齢者)に対して我々が考案した転ばんごとがんばらんば体操(以下:集団体操)を実施した。この体操は,地域包括支援センターや市の福祉課と協同して,地域高齢者が自主的に身体機能維持や向上が行なえることを目的に作成した。これを長期的に継続することで,どの程度効果を得られるかを検討したので報告する。集団体操の構成は,約25分の内容で頸部~下肢ストレッチ,筋力運動,立位でのバランス運動の複合的プログラムである。これを地域自治体と協力しDVDを用いて月二回程度実施した。

【方法】

一次予防高齢者に対して,集団体操を5年間継続できた24名を対象とし,内訳は男性:8名,女性16名で平均年齢は78.0±4.7歳であった。介入時に体力測定として握力,開眼片脚立ち,椅子起立テスト,TUGを実施し,その後は1年ごとにセラピストが介入し,体力測定や運動指導を行った。調査方法は,体力測定で行った4項目を介入時と5年後で比較し,統計学的処理にはT検定を用いた。

【結果】

介入時/5年後の体力測定の結果,握力25.0±8.7/23.5±8.6,片脚立ち27.1±18.3/23.3±18.1,椅子起立6.9±1.4/6.6±1.4,TUG6.8±1.0/7.4±1.9であり,全ての項目で有意差は認められなかった。このことから身体機能は維持されていた。


【結論】

今回の調査結果から一次予防高齢者に対して,月に2回程度の長期的な集団体操を実施することは身体機能の維持に繋がることが示唆された。これには複合的プログラムで構成された集団体操を実施することで,高齢者の身体機能に合った形で行えたためではないかと考える。さらに運動をDVDとすることで,地域自治体の方にも専門職が介入することなく適切に運動を行うことが出来,安全に運動を継続することに繋がったのではないかと考える。現在高齢者において健康及び身体的自立を維持・増進するためには運動頻度:週2回以上,強度:中等度~高度,様式:漸増抵抗運動または体重負荷の健康体操といった筋力増強運動の実施が推奨されているが,運動強度が高度になるにつれリスク評価を行わなければならず,地域高齢者に対しても多面的な介入が頻回に必要となる。今後は身体機能に合わせた運動にて,長期的に活動を継続することが求められると考えている。