第6回日本地域理学療法学会学術大会

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一般口述

病院・施設

[O] 一般口述9

Sat. Dec 14, 2019 5:40 PM - 6:40 PM Room3 (East Building 2nd floor, Middle Conference Room)

座長:大垣 昌之(社会医療法人愛仁会 愛仁会リハビリテーション病院 リハ技術部)

[O-053] 高齢整形外科患者における回復期病棟入院時の身体活動量の特徴

*清水 智子1、金井 千秋1、横倉 聡1、浅川 康吉2 (1. 結核予防会新山手病院、2. 首都大学東京大学院人間健康科学研究科)

Keywords:身体活動量、回復期リハビリテーション病棟、大腿骨骨折患者

【はじめに,目的】
高齢入院患者において効率的・効果的に生活機能改善を図るためには疾患に対する理学療法アプローチに加え入院生活全体の活動量を高めることが重要である。本研究では,高齢整形外科患者の入院中の活動量について入院当初1週間の身体活動時間と活動エネルギー消費量を明らかにした。
【方法】
当院回復期病棟に入院した65歳以上の患者で入院時診断名が1)大腿骨骨折術後患者24名(年齢85.5±5.8,女性16名),2)脊椎圧迫骨折および脊柱管狭窄症手術後患者(脊椎・脊柱管患者)24名(年齢79.3±6.5,女性15名),3)変形性股関節および変形性膝関節症の術後患者(変形性関節症患者)12名(年齢78.5±5.3,女性9名)の3群60名(年齢81.7±6.7歳,女性40名)を対象とした。活動量の評価は3軸加速度計付き活動量計(OMRON社製HJA-750)を用いて,起床6時から消灯21時までの15時間におけるMetabolic Equivalents(METs)を連続7日間,10秒ごとに測定した。得られたデータをもとに,活動強度を1.0-1.5METs (sedentary behavior (SB) ),1.6-2.9METs (light-intensity physical activity (LIPA) ),3.0METs以上 (moderate-to-vigorous-intensity physical activity (MVPA) )の3つに分類し,身体活動時間および体重1kgあたりの活動エネルギー消費量(kcal/kg)について一日あたりの平均値を算出した。活動エネルギー消費量の算出には0.1METsごとにRelated Metabolic Ratio (RMR:エネルギー代謝率(kcal/kg/時))=1.2(メッツ-1)に身体活動時間(時)を乗じ,各活動強度別に合計した値を用いた。移動能力は,車いす、歩行車(シルバーカー,4点歩行器を含む),T字杖の3つのレベルに分類した。各群における正規性の検定はShapiro-Wilk検定を,相関はPearsonの積率相関係数を用いた。3群間の比較には年齢と移動能力を共変量にした一元配置分散分析とTukeyの多重比較検定を用いた。
【結果】
日中15時間のうちの総身体活動時間は大腿骨骨折術後患者で9.4±2.0時間,変形性関節症患者で12.4±1.4時間と有意差が認められた。日中15時間の総身体活動エネルギー消費量は大腿骨骨折術後患者で4.9±2.4kcal/kg,脊椎・脊柱患者で6.9±2.3kcal/kg,変形性関節症患者で8.4±2.3kcal/kgと大腿骨骨折術後患者と他の2群の間に有意差が認められた。SB時間は3群間に差は認めなかった。SBエネルギー消費量は,大腿骨骨折術後患者で1.1±0.4kcal/kg,変形性関節症患者で1.6±0.4kcal/kgと有意差を認めた。SB時間を除いたすべての活動量で年齢との相関を認めた。すべての活動強度別の3群間で年齢および移動能力を調整しても,有意差を認めた。
【結論】 総活動量およびLIPA,MVPAについては,時間およびエネルギー消費量とも年齢と移動能力を調整しても3群間で有意差があり,大腿骨骨折術後患者は脊椎・脊柱患者や変形性関節症患者に比べて入院中の活動量が低下することが示唆された。

【倫理的配慮、説明と同意】
研究は,首都大学東京荒川キャンパス研究安全倫理委員会の承認(承認番号18090)および結核予防会新山手病院臨床試験審査委員会の承認(承認番号18002)を得て実施した。