第6回日本地域理学療法学会学術大会

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一般口述

訪問・通所3

[O] 一般口述12

Sun. Dec 15, 2019 1:40 PM - 2:40 PM Room2 (East Building 2nd Floor, Seminar Room)

座長:滝本 幸治(奈良学園大学 保健医療学部リハビリテーション学科)

[O-071] 通所サービス利用者における運動セルフエフィカシー情報源の特徴

*中野 一樹1,2、中原 雅美1、池田 拓郎1 (1. 国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究科、2. 柳川リハビリテーション病院デイケアセンター)

Keywords:ソーシャルサポート、通所サービス利用者、運動セルフエフィカシー情報源

【目的】定期的な運動実践が高齢者の健康寿命延伸にとって重要だが、運動を始めた高齢者の約50%は半年以内に運動を中断すると言われている。運動継続に関連する理論モデルにおいては、4つの主要な情報源が運動に対する自信である運動セルフエフィカシー(以下、運動SE)を高め、運動の開始や継続につながるとされる。先行研究にて前場らは独自で開発した運動セルフエフィカシー情報源尺度(Sources of Exercise Efficacy Scale:SEES)を用い、健常高齢者における運動セルフエフィカシー情報源(以下、運動SE情報源)の関連パターンを明らかにした。しかしこれは健常高齢者を対象とした知見であり、身体機能や日常生活活動の低下が予測される通所サービス利用者がどのような情報源のパターンに属するのかは明らかにされていない。本研究の目的は通所サービス利用者の運動SE情報源の特徴を評価項目から分析し明らかにすることである。
【方法】対象は通所サービス利用者のうち運動器疾患を有する高齢男女100名(年齢:83.0±5.5歳)とした。評価の際に内容を理解できない程の認知機能低下や重篤な疾病を有する者は除外した。研究デザインは質問紙調査および身体機能検査を用いた横断研究とした。主要評価項目にはSEESを使用し、副次的評価項目には運動セルフエフィカシー尺度(2002岡)、ソーシャル・サポート尺度(2007岩佐)、Short Physical Performance Battery(SPPB)、Life Space Assessment(LSA)を使用した。統計学的分析にはIBM SPSS Statistics22を用いた。対象者の運動SE情報源のパターンを分析するため、SEESの4つの情報源をz得点化し、Ward法階層的クラスタ分析を行った。その後、分類されたクラスタの副次的評価に対しχ2検定およびKruskal-Wallis検定を行った。有意水準は5%とした。
【結果】クラスタ分析の結果、5つのクラスタに分類可能であった。クラスタ別の評価項目の比較にて有意差を示したのは、運動SEとソーシャルサポートであった。運動SEにおいては4つの情報源すべてが不足するクラスタは他のクラスタと比較して有意に低値であった(p=0.001)。ソーシャルサポートにおいては4つの情報源すべてが充足するクラスタは他と比較して有意に高値であった(p=0.001)。
【結論】本研究では、通所サービスを利用する高齢者の運動SE情報源の特徴を明らかにすることを目的に調査を行った。SEES得点を基にクラスタ分析した結果では、5つのクラスタに分類が可能であった。次にクラスタごとの評価項目を比較した結果、運動SE情報源が不足しているクラスタは運動SEが低下していた。5つのクラスタ間の年齢や性別、身体機能に差はなかったが、運動SE情報源が充足するクラスタのソーシャルサポート得点は有意に高い結果となった。通所サービス利用者に対しては身体機能に着目したアプローチばかりではなく、利用者を支えるサポート体制にも着目して支援することが運動継続を促進する可能性が示唆された。

【倫理的配慮、説明と同意】
対象者には本研究の内容を十分に説明し、書面にて同意を得た。本研究はヘルシンキ宣言に沿った研究であり、国際医療福祉大学倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号:18-Ifh-038)。