第6回日本地域理学療法学会学術大会

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ポスター

ポスター1

[P] ポスター1

Sat. Dec 14, 2019 3:20 PM - 4:20 PM Poster venue (East Building 3rd floor, D Conference Room)

[P-02] 通所型サービスC参加者の社会参加への意欲と運動機能の関係

*高橋 裕子1、森尻 麻子2、北原 絹代2 (1. 高崎健康福祉大学 保健医療学部 理学療法学科、2. 前橋市役所 長寿包括ケア課 介護予防係)

Keywords:地域在住高齢者、社会参加、介護予防

【はじめに・目的】本研究が実施された前橋市は群馬県のほぼ中央に位置し,人口は約33.6万人,高齢化率28.6%であり市内で標高高低差1,700m以上ある地形を有する県庁所在都市である。前橋市で実施している通所型サービスC「歩行・動作軽やかスクール(以下,軽スク)」は3ヵ月の短期集中で理学療法士を中心に運動器の機能向上を図ることを目的に事業展開されている。今回は軽スク参加者を対象に社会参加への意欲と身体機能の変化について検討し事業効果を明らかにすることを目的とした。
【方法】対象は,基本チェックリストにてサービス事業対象者と判断され軽スクに参加された方,56名(男性23名,女性33名,平均年齢80.2歳)とした。軽スクではストレッチングや有酸素運動の理論と実際をお伝えする以外に,定期的な在宅運動の指導や活動量計にて日々の活動量チェックを行い,自身に合った運動習慣の獲得を促す取り組みを行っている。軽スク参加前後に聴取するアンケートより社会参加への意欲に関する項目(趣味や楽しみ活動ができたか,人と会うのが楽しいか,外出するのが楽しいか)を抽出,軽スク内で行われる体力測定項目(片脚立位保持時間,5m歩行速度,“Timed up and Go” testの所要時間,握力)を解析対象とし,それぞれ軽スク参加前後で比較・検討した。また,社会参加への意欲に関する項目の得点が軽スク参加前後で減少した対象を減少群,増加した対象を増加群とし,それぞれ体力測定結果を軽スク参加前後で比較した。統計解析にはSPSS statistics Ver.25を使用した。
【結果】平均出席率は83.3%,サービス提供が困難となった方は2名(5%)であった。参加者全体における軽スク参加前後の比較では有意差を認める項目はなかった。社会参加への意欲の得点変化により減少群13名(23%),増加群20名(36%)に分けられ,増加群でのみ歩行速度(前:1.7±0.4 m/s,後:1.8±0.3 m/s),握力(前:30.8±6.9 kg,後:32.4±7.6kg),TUG(前:7.4±2.2秒,後:7.0±1.5秒)において有意差を認めた。 【結論】社会参加への意欲が高まった方は軽スク参加により運動機能の向上を認めており,運動を中心とした本事業が継続的な介護予防のきっかけ作りに貢献できたものと考えられる。一方,意欲が低下した要因は運動機能以外にあることが考えられ,様々な背景を持つ方々に有益な事業を提供するため今後も継続して検討していきたい。

【倫理的配慮、説明と同意】
本研究は高崎健康福祉大学倫理審査委員会承認のもと実施された(第3041号)。また本研究は協力者に対し,事前に書面を用いて十分に研究内容の説明を行った上で,協力への同意を得て実施された。