[P-63] 関節位置覚と転倒の関係性について~第一報~
キーワード:位置覚、足関節、股関節
【はじめに・目的】
歩行中につまづき転倒する患者をみることがある。近年では運動機能の他に下肢の深部感覚(以後、位置覚)の低下が転倒の危険性に繋がっていると言われている。そこで今回我々は股関節と足関節に着目してどちらの関節の位置覚の低下が転倒の危険性に繋がっているかを検証した。
【方法】
対象:当院に通院する患者のうち、無作為に抽出された18名、転倒群7名・非転倒群11名、女性14名・男性4名、年齢は60歳~79歳(平均71.3歳)。過度な神経症状や関節の変形により疼痛を有し検査を行えない症例は除外した。
評価法:股関節・足関節の位置覚の測定は関節ゴニオメーターを用いて測定した。肢位は背臥位にて患者は閉眼状態で行った。股関節は検査側を他動的に40°まで屈曲させて非検査側は自動的に検査側と同様の位置まで屈曲させその角度を計測した。足関節は検査側を他動的に底背屈0°とさせ、非検査側は自動的に検査側と同様の位置まで底背屈させ、その角度を計測した。各関節ともに左右検査を行った。検査肢位は日整会の関節可動域測定法に準ずる。
統計処理:股関節、足関節ごとに転倒の有無で対象を2群に分けWelchのt検定を行い、股関節と足関節でどちらが転倒の危険性に繋がるか検討した。
補足としてばらつきの確認として標準偏差の数値も算出。
【結果】
股関節右(p>0.05)左(P>0.05)有意差を認めなかった。
足関節右(p>0.05)左(p>0.05)有意差を認めなかった。
標準偏差
転倒群 股関節右:8.27 左:7.49 足関節右:6.59 左:5.53
非転倒群 股関節右:2.91 左:2.33 足関節右:2.61 左:2.35
転倒群でばらつきがみられた。特に股関節にばらつきが多かった。
【結論】
今回転倒の有無で対象を2群に分けた結果、股関節と足関節とでどちらが有意に転倒と関係しているかは今回の調査では結果は得られなかった。しかし、標準偏差においてばらつきを確認したところ転倒群の方にばらつきがみられた。特に足関節よりも股関節にばらつきがみられ股関節の位置覚の低下が転倒の危険性に繋がっている傾向にあるのではないかと考えられる。先行研究から設定角度と測定角度の差を調査した研究もある。このことからも今後は今回得られたばらつきが転倒とどのような関係があるかを検討していく必要がある。今後の課題としてまず、症例数を増やすこと。今回の研究は股関節と足関節との比較で位置覚の評価を行ったが歩行などといった日常生活動作においては関節の複合運動が主となってくるので評価としても複合的に関節位置覚の検査を行いより日常生活動作に近い検査を行っていくことが転倒の危険性を知り転倒予防にも繋がっていると考えられる。
【倫理的配慮、説明と同意】
本臨床研究の目的を患者に十分に説明し、患者の自由意志による同意を口頭にて行った。また、個人情報の保護に努めた。
歩行中につまづき転倒する患者をみることがある。近年では運動機能の他に下肢の深部感覚(以後、位置覚)の低下が転倒の危険性に繋がっていると言われている。そこで今回我々は股関節と足関節に着目してどちらの関節の位置覚の低下が転倒の危険性に繋がっているかを検証した。
【方法】
対象:当院に通院する患者のうち、無作為に抽出された18名、転倒群7名・非転倒群11名、女性14名・男性4名、年齢は60歳~79歳(平均71.3歳)。過度な神経症状や関節の変形により疼痛を有し検査を行えない症例は除外した。
評価法:股関節・足関節の位置覚の測定は関節ゴニオメーターを用いて測定した。肢位は背臥位にて患者は閉眼状態で行った。股関節は検査側を他動的に40°まで屈曲させて非検査側は自動的に検査側と同様の位置まで屈曲させその角度を計測した。足関節は検査側を他動的に底背屈0°とさせ、非検査側は自動的に検査側と同様の位置まで底背屈させ、その角度を計測した。各関節ともに左右検査を行った。検査肢位は日整会の関節可動域測定法に準ずる。
統計処理:股関節、足関節ごとに転倒の有無で対象を2群に分けWelchのt検定を行い、股関節と足関節でどちらが転倒の危険性に繋がるか検討した。
補足としてばらつきの確認として標準偏差の数値も算出。
【結果】
股関節右(p>0.05)左(P>0.05)有意差を認めなかった。
足関節右(p>0.05)左(p>0.05)有意差を認めなかった。
標準偏差
転倒群 股関節右:8.27 左:7.49 足関節右:6.59 左:5.53
非転倒群 股関節右:2.91 左:2.33 足関節右:2.61 左:2.35
転倒群でばらつきがみられた。特に股関節にばらつきが多かった。
【結論】
今回転倒の有無で対象を2群に分けた結果、股関節と足関節とでどちらが有意に転倒と関係しているかは今回の調査では結果は得られなかった。しかし、標準偏差においてばらつきを確認したところ転倒群の方にばらつきがみられた。特に足関節よりも股関節にばらつきがみられ股関節の位置覚の低下が転倒の危険性に繋がっている傾向にあるのではないかと考えられる。先行研究から設定角度と測定角度の差を調査した研究もある。このことからも今後は今回得られたばらつきが転倒とどのような関係があるかを検討していく必要がある。今後の課題としてまず、症例数を増やすこと。今回の研究は股関節と足関節との比較で位置覚の評価を行ったが歩行などといった日常生活動作においては関節の複合運動が主となってくるので評価としても複合的に関節位置覚の検査を行いより日常生活動作に近い検査を行っていくことが転倒の危険性を知り転倒予防にも繋がっていると考えられる。
【倫理的配慮、説明と同意】
本臨床研究の目的を患者に十分に説明し、患者の自由意志による同意を口頭にて行った。また、個人情報の保護に努めた。