日本デザイン学会 第69回研究発表大会

講演情報

口頭

[4B] 地域振興、地域研究

2022年6月25日(土) 13:00 〜 15:00 口頭発表 第4会場

座長:久保 雅義(芸術文化観光専門職大学)

13:00 〜 13:20

[4B-01] ウルシの木を材料とした置き時計と掛け時計の制作

ウルシ植栽活動の収益化を目的とした商品開発

*上原 健太1、呉 敏1、永見 豊2 (1. 拓殖大学大学院、2. 拓殖大学)

キーワード:Crowdfunding, Logo, Bark

日本の漆の約95%は中国産の輸入品となっており、漆の栽培に関わる人口の減少と高齢化が課題となっている。ウルシ植栽活動の収益化と支援を目的として、「ウルシの木活用プロジェクト」が2020年から始まり、筆者らも参画している。本活動の一環として、漆掻きを終えて伐採された木材を利用した商品開発を行なっており、置き時計と掛け時計を制作した。 制作に当たっては、ウルシの木の特徴である「樹皮の掻き傷」、「黄色い材色」を見せる方針とした。懸念事項として、樹皮部はかぶれ成分の残留、木質部では黄色味の色抜けが挙げられたため、塗装による表面コーティングの検討を行った。その結果、水性のウレタン塗料が最適であることが分かった。 時計の文字盤は、漆のレトロな雰囲気と数字の7 が「漆」を表すことにちなんで行書体の大字・漢数字とした。置き時計は、樹皮に入った掻き傷を正面に見せ、文字盤は柾目面の黄色い材色を見せるデザインとした。掛け時計はウルシの木の木口面の年輪を文字盤として活かしたデザインとした。掻き傷や節の位置によって、作品の表情が異なり特別感のある作品になったと考える。