技術発表
1.「酸素移動速度の新しい計測・評価方法の提案と妥当性の確認」
学校法人香川学園 宇部環境技術センター
大木 協
要旨
夏季のダム湖や湖沼等の閉鎖性水域の底層に形成される貧酸素水塊に酸素を供給する気体溶解技術が種々提案されている。これらの技術の性能評価の重要な指標として酸素移動速度が挙げられる。酸素移動速度の既往の測定方法では、試験操作に時間を要すること、計算方法が煩雑であること、そして稼働中の気体溶解装置についてリアルタイム(即時)に計測・評価できない等の短所がある。著者らは、これらの短所をクリアできる新たな酸素移動速度の計測・評価方法を提案し、その妥当性を実験にて確認した。
2.「自然由来重金属汚染土壌の地域特性と農作物への影響について」
ラボテック株式会社
石岡 由理奈
要旨
日本各地に分布している自然由来の重金属が農作物(米)に対して地域によって影響に差が出るのかを検証する。
3.「分析における重金属類のコンタミネーションについての検討」
一般財団法人 北海道環境科学技術センター
馬場 勇介
要旨
一般財団法人 北海道環境科学技術センター
馬場 勇介
要旨
日々進化する分析機器の精度及び分析技術に伴い、測定対象物質の
コンタミネーションの把握と低減は必須である。
分析現場の様々な状況にて汚染状態(コンタミネーション)を「見える化」することによって、分析者の意識も変わってくるため、重金属類に着目して現場レベルのコンタミネーションの「見える化」を行い、課題と対策及び効果を明示することを目的として当センターの事例を報告する。
コンタミネーションの把握と低減は必須である。
分析現場の様々な状況にて汚染状態(コンタミネーション)を「見える化」することによって、分析者の意識も変わってくるため、重金属類に着目して現場レベルのコンタミネーションの「見える化」を行い、課題と対策及び効果を明示することを目的として当センターの事例を報告する。
4.「水銀をめぐるはなし」
一般社団法人 徳島県薬剤師会
竹田 正澄
要旨
水銀の基本的な性質、古代から現代までの水銀の使われ方、現在の
水銀に対する規制に関する話と、主な試験方法についての話。
5.「PFAS項目の網羅的分析」一般社団法人 徳島県薬剤師会
竹田 正澄
要旨
水銀の基本的な性質、古代から現代までの水銀の使われ方、現在の
水銀に対する規制に関する話と、主な試験方法についての話。
中外テクノス株式会社
佐多平 恒成
要旨
近年、PFAS(パーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアル
キル化合物)は、その生物蓄積性・毒性から関心が高まっている。
アメリカやEUでは、多様なPFAS項目を対象として分析方法が定
められ、規制の強化が進んでいる。一方、国内の規制対象はPFOS
及びPFOAと限定的であり、PFAS項目について情報が蓄積されて
いない。そこで、我々は、網羅的にPFAS項目を分析するために、
測定対象化合物の拡充を試み、いくつかの実試料を分析したので、
その事例を報告する。
method 537.1 の導入と精度管理について」
ユーロフィン日本環境株式会社
野島 智也
要旨
US EPA method 537.1によるPFAS分析において要求されている精度 管理事項は、日本のPFAS分析における精度管理と異なっている。同
法を導入するにあたり、実際に行っている検証試験について報告す
る。
一般財団法人 東海技術センター
新美 康太
要旨
フッ素分析法として、少量の試料を用いる小型蒸留器 JISK0102
(2019)において導入されているが、公定法としての検証が不十分で
あることから告示では未採用となっている。
本発表では、模擬試料を用い小型蒸留装置と既存法における回収率を
ランタンアリザリン吸光光度法により比較・評価し、小型蒸留器使用
の可能性を検討した結果を報告する。
株式会社 エスジーズ
澤田 正樹
要旨
公共用水域などの定期モニタリング業務などにおいて環境水のサンプ
リングを行う場合、その分析データはその環境を代表するものでなく
てはならない。環境変化を把握するための定期モニタリング調査で
は、分析データの連続性が求められ、毎回、同一場所・同一方法で
現地状況に適したサンプリングがとても重要である。私自身が担当
した過去の業務における経験・失敗事例を踏まえ、環境水(河川・
湖沼・海域)のサンプリング時に留意した点・工夫した点について
報告する。
9.「底質CODにおける試料採取量の検討」

中国水工株式会社
末吉 淳
要旨
底質CODの測定は、「あらかじめ試料を段階的に取り、予備試験を
実施する」との記載がある。また試料の採取量によって分析値が大き
く変動する。そこで、試料採取量の目安を決定することを目的に検討
を行った。
10.「外部精度管理調査から学ぶ事」
株式会社 東京久栄
小坂 久仁子
要旨
計量証明事業者が参加している外部精度管理調査は複数あり、日環協
の技能試験や環境省の環境測定分析統一精度管理調査(以下、環境省
精度管理調査)等が実施されている。参加者は自社の分析精度を客観
的に確認し、課題があれば改善に取り組んでいる。さらに環境省精度
管理調査では多くの情報を収集・整理・報告されており、計量証明に
関する課題も多く確認することができている。
約10年間の環境省精度管理調査の結果をもとに得られた知見や計
証明に関する課題を整理し、今後の外部精度管理調査への取り組み方
や活用について検討を行った。
尚、環境省担当課には、資料使用についてご了承頂いています。
11.「飛行時間型二次イオン質量分析法による微小試料中の135Cs/133Cs
値測定の検討」
一般社団法人 九州環境管理協会
田籠 久也
要旨
東京電力(株)福島第一原子力発電所の事故により放出された放射性
セシウムの中には、ミクロサイズのガラス質微小粒子(CsMP)の
存在が確認されている。このCsMPの135Cs/133Cs値から起源推定の
適用可能性を探ることを目的として、飛行時間型二次イオン質量分析
法(ToF-SIMS)による135Cs/133Cs値測定を検討した。
測定したCsMPの135Cs/133Cs値は、事故由来の値に近似しており、
測定誤差は5%程度で、一定の精度を確保してCsMPの135Cs/133Cs
値測定が可能であることを確認した。
12.「底質試料におけるPCB 迅速分析の検討」
一般財団法人 広島県環境保健協会
勝谷 芳生
要旨
底質中のPCBの測定は、「底質調査方法」が公定法として定められ
ているが、試料の前処理に多大な時間と労力を要する手順となって
いる。また、夾雑物の多い試料では、妨害成分の除去が不十分とな
り、正確な測定が困難となることが確認されている。
本検討では、「銀担持アルミナカラム法」を用いて底質試料に対す
る適応性と作業の迅速化の検討を行った。
13.「データベースチェックシステム『 SKeye 』 (スカイ) の運用
について」
株式会社 イズミテック
高畑 絵美
要旨
弊社が開発したデータベースチェックシステム『SKeye』(スカイ)
の運用についてご紹介します。
『SKeye』は、LIMSのデータベースを自動でチェックして、『基準
値超過』・『異常値』・『納期が迫っている』等の条件に合った
案件を抽出、自動で文書を作成したのち担当者にメール連絡する
システムです。
情報を自分で探しにいく手間をなくす、ヒューマンエラーの軽減
等を目的とした本システムは、社員の声を反映することで日々
機能を向上しています。
◆B会場◆
1.「閉鎖性汽水域における採水溶存酸素の問題点」
アクア環境株式会社
籔中 友美
要旨
近年、サンプリング現場にて水質簡易項目を計測できる多項目型の
水質計が利用されているが、しばしば採水後の水質と現場観測の
計測値に大きな差が生じることがある。特に溶存酸素については,
貧酸素環境下での採水方法や,採水後のサンプル水の保管方法,移動
方法により、現場環境を維持することが困難であり、分析値と大き
な差を示す。また,深い深度から採水するpH について、採水後の圧力
変動によりその値を大きく変化させることもある。そこで、現地採水
を行う現場に於いて、保存が困難な項目である溶存酸素やpH につい
て採水を伴わない直接計測を行うことの重要性と、現地採水及び
その輸送、保管によるサンプル水の変性を確認することで、採水分析
値の精度向上を図った。
2.「塩基置換容量の分析方法の比較、検討」
株式会社 日本総合科学
佐藤 那保
要旨
環境汚染防止のため肥料成分の溶脱防止は重要な課題となっている。
土壌からの溶脱の因子として、土壌の塩基置換容量の大小があげら
れる。
本発表では、より迅速で正確な塩基置換容量の分析方法を比較、
検討したのでその結果を報告する。
3.「ケイ酸塩標準溶液の開発」
株式会社 KANSOテクノス
長屋 知里
要旨
海水中栄養塩測定のためのケイ酸塩標準溶液の現状は国際標準の整備
が不十分で、比較可能性も低い。当社で販売している栄養塩測定用
海水標準物質の品質管理にもその影響があり、無視できない事態と
なったため、当社でケイ酸塩標準溶液を開発することとした。開発
は2年間(2019年度・2020年度)に渡り実施した。
2020年度は、1ロットあたり1000本規模でケイ酸塩標準溶液を製造
し、NMIJによる値付け及び当社での均質性試験・安定性試験を実施
し、十分な品質であることを確認した。
4.「PCB分析におけるコンタミネーション防止の取り組みについて」
ユーロフィン日本環境株式会社
門田 めぐみ
要旨
ポリ塩化ビフェニル(以下PCB)は試料によって濃度が不検出~数十
万ppmまでと非常に広いため、PCB分析においてはコンタミネーショ
ンをいかにして防止するかが大きな課題となっている。
今回は、当社で実施しているPCB分析におけるコンタミネーションの
防止の取り組みについて紹介する(詳細は別添要旨を参照)。
5.「コンクリート中の塩化物イオン試験における作業効率化について」
野外科学株式会社
服部 員典
要旨
当社では硬化コンクリート中の塩化物イオン試験について、これまで
短時間測定が可能なチオシオン酸水銀吸光光度法を採用してきた。
しかし、水銀汚染防止法による規制の強化により、現在は水銀を使用
しない電位差滴定法に移行している。電位差滴定法には、測定 pH 領
域が広く、懸濁液でも測定できるメリットがある。ここでは、このメ
リットを利用し前処理時間の短縮について検討したので、その結果を
紹介する。
6.「電子による計量証明書(e-計量)の運用実務者からの報告」
株式会社 東海テクノ
戸田 勝也
要旨
弊社ではe-計量システムを利用し、電子署名を行った証明書の電子に
よる納品を2020年4月から本格運用しています。今回は具体的な運用
の方法とその実績及び効果につき発表致します。
7.「VOC分析試料の経時変化に関する考察Ⅲ」
株式会社 クレハ分析センター
白岩 康成
要旨
VOCは揮散・揮発等によって濃度が変化しやすい物質であり、分析
するにあたっては、試料の保存など注意が必要である。JIS K 0125に
は、「試験は試料採取後直ちに行う。直ちに行えない場合には、4℃
以下の暗所で凍結させないで保存し、できるだけ早く試験する。」と
記述されている。以上のことから、試料採取後、濃度が低下するまで
に要する日数を検討した。検討の結果、急激に濃度が低下する物質で
も、採取後3日以内なら採取直後と大差ない結果を得られるのではな
いかと考える。
8.「ジクロロメタンを使用しないノニルフェノールの簡易前処理法の検討」
公益財団法人 ふくおか公衆衛生推進機構
長谷川 淳
要旨
水生生物保全に係わる環境基準項目であるノニルフェノールの告示
法は、前処理操作が煩雑な上、有害なジクロロメタンを用いるなど
の難点がある。本研究では、ジクロロメタンの代替溶媒としてアセ
トン-ヘキサン混合溶媒を使用し、自作充填カラムの代わりに市販の
シリカゲルカートリッジカラムを用いた簡易前処理法の検討を行な
った。
9.「水試料中におけるPFHxSの分析法及びPFOS、PFOAとの同時分析の検討」
株式会社 環境管理センター
上本 実加
要旨
要調査項目に追加されたPFHxSについて、PFOS、PFOAとの同時分
析の検討を行った。固相抽出-LC/MS/MS法により同時分析が可能で
あった。これらの物質について、分岐異性体と直鎖体を分離した定量
が可能であった。当日の発表では精度管理試験の結果に加え、実環境
水の測定例について報告する。
10.「検知管の併行測定を用いたガスクロマトグラフ分析結果との比較と作業環境の改善手法について」
株式会社 オオスミ
田畑 智広
要旨
アスファルトの合材工場では合材の品質確認のため、溶剤を用いたア
スファルトの抽出試験が行われている。抽出試験時に抽出溶剤として
使用される1-プロモプロパンは、作業環境測定の対象物質では無く、
規制対象外物質(作業環境の評価に用いる管理濃度は未設定)である
が、顧客である10社程の工場から、試験室の安全衛生状況の確認を
行うことを目的とした、作業環境測定に準拠した測定(測定時間1時
間、A測定5点、B測定1点による評価)の依頼を継続的に受けてい
る。臭化メチル用検知管を用いた1-プロモプロパンの測定値と、G
C分析測定値との相関の確認と、検知管を活用した作業場の改善手法
について、検討を行った。
11.「最終処分場における有害物等の検出事例を再現するために行った模擬溶出試験について」
公益財団法人 山口県予防保健協会
尾本 龍一
要旨
廃棄物最終処分場においてヒ素が基準値を超過した事例やCODが高
くなる事例が認められ、廃棄物溶出試験や土壌汚染対策法の溶出試験
を行ったが、原因を特定できなかった。これらの課題に対して、廃棄
物最終処分場でごく一般的に起こりえるアルカリ条件での溶出を試み
ることで、原因を特定するためのひとつの手段となった事例を紹介す
る。
12.「UILI-ILP(国際試験所間比較試験)のこれまでの実施状況と報告値の分析方法別解析結果について」
いであ株式会社
高橋 厚
要旨
国際民間試験所連合(UILI)は試験所、校正機関及び科学技術分野にお
けるコンサルタントで構成される国際的な組織で、 (一社)日本環境測
定分析協会は2001年よりBoard Memberとして活動している。UILIで
は事業の一環として国際的な化学分析比較試験を実施しており、これ
まで23回の化学分析比較試験を行った。本発表ではこれまでの比較
試験に関する実施状況を紹介の上、一部分析項目について分析方法別
に報告値を解析したのでその結果を報告する。
13.「TG-DTA-MS法による蛇紋石系アスベストの定性分析」
株式会社 太平洋コンサルタント澤木 大介
要旨
蛇紋石の多形のうち、アスベストであるクリソタイルと、非アスベス
トであるリザルダイト、アンチゴライトを、TG-DTA-MS法により識
別する方法を検討した。結晶水の揮発温度領域の相違により、これら
3種類を判別することの可能性が示された。MSにより水の揮発挙動を
直接モニタリングできるため、セメントに由来する炭酸カルシウムが
共存しても、その脱炭酸反応が妨害要因となることはなく、蛇紋石の
種類を判定できた。